こんにちは。管理人のケンです。私は現役の土地家屋調査士です!
試験には独学で合格しています。勉強期間は半年です。
この記事では土地家屋調査士試験の合格までの手順を詳しく書いています。
また、独立開業までの手順についても説明しています。
私が受験生だったころ、試験に関する情報がとても少なくてめちゃくちゃ苦労しました。
多分、世の中には私のように情報不足で困っている人がたくさんいると思います。
そんな方向けにこの記事を書きます。
この記事を読むべき人
- 土地家屋調査士試験に興味がある人
- 試験について最近調べ始めた人
- 会社勤めではなく、独立して稼ぎたい人
- 将来役に立つ資格が欲しい人
- 土地家屋調査士試験に独学で合格したい人
土地家屋調査士ってどんな仕事?
そもそも土地家屋調査士とはどんな仕事なのか?
すごく簡単に言うと登記が関わる測量を請け負う仕事ですね。
例えばあなたが新築の家を建てたとします。
家を新築した場合は法務局に「家が建ちました」という報告をする必要があります。
本当は家を建てた人(所有者)がその報告をするのが義務なのですが、申請する前に測量をしたり書類を集めたりする必要があるので素人の人にはハードルが高いです。
というわけで、素人の人に代わって私たち土地家屋調査士が測量や申請の代理をするのです。
ちなみに建物以外にも土地の測量もあります。土地の場合は売買の時に何らかのタイミングでお世話になっていると思います。
詳しくはこちらに書いています。
参考:土地家屋調査士じゃ食えない?実際の仕事内容と報酬額を紹介!
動画で知りたい人はこちらをどうぞ。
働きながらでも合格できるの?
土地家屋調査士試験は全体の約7割の受験者が働いています。
先例がたくさんあるので、仕事しながらでも合格できることは明らかです。
ただ、試験の合格率は8~9%程度なので適当な勉強では受かりません。
実際に何度も試験に落ち続けている人が多いです。
こちらに詳しくまとめています。
参考:【難易度高め?】土地家屋調査士は働きながらでも合格できるか?
30代の未経験でも土地家屋調査士に転職できるの?
結論から言うと30代でも土地家屋調査士に転職できます。
実際に私自身が30代で土地家屋調査士試験に合格をして、その後に調査士になっています。
世間では「30代の転職は厳しい」とか「未経験ではどこも雇ってくれない」という意見が多めですが、それらはあくまでも一般論であって自分自身に当てはまるとは限りません。
詳しくはこちらに書いています。
参考:【実体験】30代未経験でも土地家屋調査士への転職は可能か?
注意点ですが、土地家屋調査士の仕事は現場作業が多いので体力に自信がない人にとってはきついと思います。
個人的には年齢よりも体力的な問題で不採用になっている人が多いイメージですね。
参考:土地家屋調査士の仕事がきついのは本当!でも転職するメリットも多め!
ちなみに女性でも土地家屋調査士にはなれます。
参考:【実体験】土地家屋調査士は女性には無理なの?実際に働いて大変だったこと5つ
独立開業までの流れ・必要経費
土地家屋調査士として働くなら独立開業したいと思う人が多いはずです。
その流れをご紹介します。
調査士事務所に就職をして実務経験を積む場合
土地家屋調査士の仕事は測量技術や登記申請の知識がいるので完全に未経験のからの独立は結構きついです。
なので、どこかの事務所にいったん就職をして1~2年くらい経験を積んだ後に独立開業をする人が多いです。まずはその流れを説明します。
- 土地家屋調査士試験に合格(※)
- 土地家屋調査士事務所に就職
- 1~2年ほどの実務経験を積む
- 事務所を退職
- 土地家屋調査士として登録(※)
- 必要な道具(器械など)を揃える
- 知人の紹介や営業などで仕事をとってくる
※土地家屋調査士の合格・登録は就職前でも退職後でもどちらもでいいです。
独立前に試験に合格していればOK。登録も同じです。
未経験からいきなり独立する場合(実務経験なし)
未経験から独立することも一応できます。この場合は知り合いの調査士や測量士などに器械の触り方などを教えてもらう必要があります。
単発のアルバイトとして雇ってもらってもいいです。
または、土地家屋調査士会が主催している実務研修を受けるパターンもあります。
実務研修を受ける場合は研修費用がかかりますが、就職をする必要がないです。(県によってはやってないところもあるので注意)
- 土地家屋調査士試験に合格
- 土地家屋調査士の登録をする
- 知人に実務を教えてもらう(または研修を受ける)
- 必要な道具(器械など)を揃える
- 営業で仕事を取ってくる
こんな感じですね。詳しくはこちらに書いています。
参考:土地家屋調査士は実務経験なしでも開業できるの?経験者が解説します《100%無理ではないです》
注意点ですが、土地家屋調査士の現場仕事は基本的には二人一組での作業になります。
一人でも作業できますが、手間がかかるしめんどくさいです。あと、一人作業をするための専用の器材は割高ですね。
なので、人手が必要な場合に器械を操作してくれる補助者を探しておくことをオススメします。(親族や友人など)
器械の操作は1~2ヵ月くらいで慣れるので補助者は未経験でも大丈夫です。
独立開業にかかる費用
土地家屋調査士の独立開業はお金がかかります。
- 土地家屋調査士の登録費や会費など・・・65~70万円(※)
- 器械や道具をそろえる費用・・・50万円~
- 車(持っていない場合)・・・中古なら20~30万円
- 作業服や靴(持っていない場合)・・・作業服は上下で1万円くらい。靴は動きやすければ何でもいい
初期費用はこんな感じですね。分割払いなどを使っても80~100万円くらいはかかると思った方がいいです。
(※公共嘱託の登録をしない場合は25万円ほど安くなります。公共嘱託登記とは官公署等(県や市)が行う不動産の表示に関する登記に必要な調査、測量のことです)
それから、器械やCADのリース代や土地家屋調査士の会費などは毎月かかります。だいたい8万円くらいでしょうか。
測量する時にアルバイトを雇うなら日当を払う必要があります。これは1万円くらいです。
他の法律系の資格よりもお金がかかる場面が多いので、なるだけ資金に余裕を持って開業したほうがいいですね。
土地家屋調査士試験とは?
ここからは試験の説明です。
土地家屋調査士と名乗って働くためには土地家屋調査士試験に合格をし、調査士として登録をする必要があります。
この試験は受験資格などはないので誰でも受けられます。最終学歴も年齢も性別も関係ありません。
試験は例年10月20日あたりに行われています。受験申込は7月下旬~8月上旬ごろです。
参考:土地家屋調査士試験はいつ行われるの?【募集要項の確認をしよう】
受験者は毎年4500人ほどで400人くらいが合格します。結構マイナーな試験なので受験者は少なめですね。
受験者が減少傾向にありますが、土地家屋調査士の需要は高いので仕事がゼロになることはありません。
参考:【将来性ない?】土地家屋調査士試験の受験者が減少している理由《推移まとめ》
ここだけの話、ガチのコミュ障じゃなければそこそこ稼げます。何らかの資格で独立を考えている人にオススメです。
参考:コミュ障には無理かも!?土地家屋調査士になるために必要な条件
試験内容
土地家屋調査士の試験には3段階あります。
- 午前の部(ほとんどの受験生が免除)
- 午後の部(択一式と記述式)
- 口述試験(面接)
午前の部
午前の部は特定の条件(※)を満たせば試験を受けずに済みます。受験者のほとんどがこの免除を受けています。
※条件とは「測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士」のうちのどれか1つを所有していることです。
参考:《合格者の99%はやってる》土地家屋調査士試験の午前の部を免除する方法
午後の部
午後の部には3科目あります。
- 択一式→マーク式の問題(20問)
- 記述式(建物)→申請書と図面を描く
- 記述式(土地)→申請書と図面を描く
択一式は選択問題です。センター試験みたいな感じですね。(下の画像)
記述式の問題では建物、土地の申請書と図面を手書きします。
これは自分で文字や線を書いて解答していきます。
関数電卓で計算する必要があるので結構難しいです。こんな感じです。
あ、枠は書かなくていいですよ。中身だけ解答します。
試験の内容についてもっと詳しく知りたい方はこちら。
参考:【5分で分かる】土地家屋調査士試験の試験内容《受験経験者が詳しく解説》
基準点について
ちなみに午後の部の試験では基準点(足切り点)があります。
基準点とは「この点数に達しなかった時点で不合格確定」という線引きのことですね。
まず択一式(マーク式の問題)で設定された基準点を超える必要があります。
全体の8割くらい点数が取れていれば大丈夫ですね。
参考:【土地家屋調査士試験】択一で逃げ切れ!合格できるベストな配点を経験者が解説
択一式の基準点を突破したら次は記述式の基準点を超える必要があります。
参考:【土地家屋調査士試験】記述式の理想的な配点は?《何点とれば合格できる?》
そして、択一式と記述式の合計得点が「合格点」に達したら合格です。
要するに・・・
- ステップ1:択一式の基準点を超える(11月ごろに法務局のサイトで発表がある)
- ステップ2:記述式の基準点を超える(択一式の基準点を超えた人だけ採点される)
- ステップ3:択一式と記述式の合計が合格点を超える(択一・記述の合計基準点+10点くらいとれていれば合格。合格発表は1月)
こんな感じです。
参考:【過去10年分のデータを公開】土地家屋調査士試験の基準点とは?
解答時間は2時間半
午後の部の試験はとにかく時間が足りません。択一と記述式を2時間半で解く必要があります。
「え!?そんなに長いの!?」って思いました?実際に解いて見れば分かりますが、マジで時間が足りないです。
たいていの場合は時間が足りずに中途半端に終わります。なので、普段から解答時間を意識した勉強をする必要がありますね。
参考:【土地家屋調査士試験】合格に必須な時間配分を確認しよう《択一・建物・土地》
口述試験
択一式と記述式の試験は毎年10月20日頃に行われているのですが、この試験に合格すると次は口述試験が行われます。
口述試験は1月下旬ごろに実施されますね。平日に行われるので仕事をしている人は休む必要があります。
口述試験は筆記試験の合格者のみが受けられます。内容は登記官による面接です。
不動産登記法に関係のある質問をされるので、それに答えるという感じです。
面接と聞くと緊張しますが、ぶっちゃけただの顔合わせです。
よほど変なことをしなければ誰でも受かります。
参考:【土地家屋調査士】口述試験の対策方法まとめ《試験内容・合格率・テキスト》
試験の難易度(合格率)
この試験の合格率は8~9%くらいです。10%を超えないように合格率が調整されていますね。
毎年4500人くらいが受験して400人程度が合格します。上位10%に入れないと合格するのはキツイですね。
同じ不動産関係の資格である「宅建」よりははるかに難しいです。宅建の難しさを「1」とするなら土地家屋調査士は「5」くらいですね。
参考:【経験者が解説】土地家屋調査士試験と宅建の難易度を徹底比較してみた
(補足)最近の試験は簡単?
最近の問題は昔の試験よりも簡単なのではないかという指摘もあります。
たしかに昔よりも現代の方が道具の性能も良いし、試験の情報も手に入りやすいですが、試験の難易度自体は大きくは変わっていません。
詳しくはこちらに書いています。
参考:昔の土地家屋調査士試験の方が難しいと言われる3つの理由《ただの勘違いです》
合格に必要な勉強時間
土地家屋調査士試験に合格するための勉強時間は800~1200時間程度です。
1日4~5時間の勉強を1年間毎日続ければ未経験でも合格できます。実際にうちの妻はこれと似たパターンで合格していますね。
私の場合は短期集中型で半年で合格しています。試験前の一日の勉強時間は10時間以上です。
詳しくはこちら。
参考:【必読】土地家屋調査士に独学で合格できる勉強時間は?《半年と1年の合格パターンを紹介》
独学にするか、予備校にするか
独学の合格は無理?
全く法律の知識がないなら予備校を使った方がいいです。
やっぱり独学は難しいかな?
この試験は合格率が低めなので独学が難しいとよく言われています。
独学が難しいと言われている主な理由
- 合格率が低い
- マニアックな知識がいる
- 情報が少なすぎ
- 問題自体が難しい
私も妻も独学で一発合格しているので「絶対に独学では合格できない」という主張は間違いです。
ただ、予備校を全く使わない独学だとキツイ場面がたくさんあります。
完全独学の私がキツかった点
- 正しい勉強方法が分かるまでは手探り状態
- 疑問点があったら自力で調べる必要がある(情報が少なくて苦労する)
- 挫折しそうになる
- 市販のテキストが少なすぎる
一応、独学でも合格はできます。私の周りにも未経験の状態で独学をして一発合格した人が何人かいます。
私も含め、独学で合格する人は半年~1年以上は継続的に勉強を続けています。
なので、途中で挫折しなければ独学での合格も可能です。
参考:土地家屋調査士試験の独学が無理と言われる4つの理由《体験談あり》
参考:【土地家屋調査士】半年の独学で合格した勉強方法&スケジュール
ただし、模試だけはどこかの予備校で受けた方が良いです。模試を受けないと最新の試験の傾向が分からないからです。
私は東京法経学院で模試を受けました。
どちらにするかをまずは決める
決めるべきパターン
- 予備校を使ってサクッと受かる
- 苦しくても節約のために独学する
まずは独学にするか予備校を使うかを決めます。
独学で苦労した私としては予備校にいくことをオススメします。
参考:【土地家屋調査士】独学で合格した私が予備校をオススメする理由
予備校を使うパターンの勉強方法については解説しません。講師の言う通りに勉強すればいいです。
予備校の価格比較表はこちら。
ただ、予備校は費用がかかるもの事実です。
独学と予備校の費用の差についてはこちらにまとめました。
参考:【土地家屋調査士試験】独学をする場合にかかる費用まとめ
この記事を見てもらえば分かりますが、独学でも結構お金がかかります。
独学での勉強方法まとめ
道具をそろえる
試験勉強を始める前に道具をそろえる必要があります。必ず必要になるので最初に買っておきましょう。
- 芯が細いシャーペン(0.3mm)
- 芯が太いシャーペン(オススメは0.7~0.9mm、鉛筆でも可)
- 色付きのペン(蛍光ペンなど)
- ケシゴム(オススメはMONO)
- ボールペン(0.3mm~0.4mm)
- 三角定規(試験専用のもの)
- 三角スケール
- 関数電卓 2台
私が実際に使ったいたものはこちらに書いています。
参考:【まとめ】土地家屋調査士試験の勉強が10倍はかどるオススメの道具たち
関数電卓について知りたい方はこちら。
参考:【土地家屋調査士】一発合格した私がオススメする関数電卓3選!《試験対応》
ちなみに六法は買わなくても良いです。買っても使う機会がほぼ無いです。
独学で合格する方法
ここからは独学で合格する方法を紹介します。
法律系の知識が全くない人にとっては結構きつめですが一つずつクリアしていきましょう。
全てこなせれば合格できます。
※私の妻がこれとほぼ同じスケジュールで合格しています。
独学で合格する流れ(1年~1年半計画)
- 択一の過去問をひたすら解く(平均2~3ヵ月)
- 記述式の基礎を学ぶ(1週間以内)
- 建物の基礎(2ヵ月)
- 土地の基礎(2ヵ月)
- 記述式の過去問(2ヵ月~)
- 記述式の演習問題+ひたすら択一(3ヵ月以上は欲しい)
- 模試(できれば実践答練)
- 筆記試験(10月下旬ごろ)
- 口述試験(1月下旬ごろ、筆記試験の合格者のみ)
使用するテキストを詳しくまとめた記事はこちらです。使い方も丁寧に解説しています。
参考:《独学OK》土地家屋調査士試験に合格するためのオススメのテキストまとめ
択一式の勉強方法はこちら。
参考:【土地家屋調査士試験】択一の勉強方法&対策まとめ《半独学がオススメ》
記述式の勉強方法はこちら。
本試験の流れ
ここまできたらいよいよ本試験です。
実際に私が受験した時の当日の流れは別の記事にまとめています。
勉強する前に本番の雰囲気を知っておくといいかもしれません。
口述試験についてはこちら。
参考:【土地家屋調査士】口述試験の対策方法まとめ《試験内容・合格率・テキスト》
今回の記事はここまでです。
最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事は私自身が土地家屋調査士の試験を独学で合格した際に使った方法です。
実際にどのようなスケジュールで勉強したのかはこちらに書いています。
1年パターンはこちら。
この方法が必ず正しいとは限りませんが、多少なりとも参考になれば幸いです。