
- 着実な人気回復:受験者数:令和2年3,785人 → 令和6年4,589人へ回復
- 単価の魅力:1件40万〜100万規模。高収益な独占業務は他士業にはない強み。
- AIとの共存:役所は超アナログ。実務上の運用壁が大きく、人の判断は不可欠。
- 椅子は空いている:離脱者が多く高齢化も深刻。生き残るだけで市場を独占できる可能性がある。
- 今がチャンス:ベテラン引退と人気回復の「狭間」にある今は、参入の好機になり得る。
「土地家屋調査士は将来性がない」という古い情報を信じていませんか?実は今、受験者数は令和2年を底に直近5年で着実に回復しており、高単価な独占業務が再評価されています。ここからが土地家屋調査士の“超リアルな現状”です。現場は「1年で8割が辞める」と言われるほど過酷。その矛盾の正体と、生存戦略をお話しします。
【この記事で分かること】
- 【最新統計】土地家屋調査士の受験者数推移(直近5年・令和2年→令和6年)
- 他士業からも注目が集まる「1件100万」もあり得る高単価な実態
- AIや自動処理では対応できない「運用上の壁」と将来性
- 肩にアザ、離脱率80%。それでも若手が「無双」できる生存者利益
- ベテラン引退で空いた「椅子」を掴むために必須な「営業力」
1. 【最新推移】土地家屋調査士の受験者数は直近5年で回復傾向
「土地家屋調査士はマイナーで、受験者が減り続けている」という認識は、長期的な推移を見れば間違いではありません。しかし、直近5年の傾向を見れば、状況は着実に変わっています。
土地家屋調査士試験 受験者数の推移(直近5年)
- 令和6年度(2024年):4,589人
- 令和5年度(2023年):4,429人
- 令和4年度(2022年):4,404人
- 令和3年度(2021年):3,859人
- 令和2年度(2020年):3,785人(過去最低水準)
参照元:法務省「土地家屋調査士試験の結果」最終結果データより
長期で見れば減少局面もありましたが、令和2年を底として直近数年の受験者数は回復傾向にあります。この背景には、他士業での過当競争を避けた層が、より「独占的で単価が高い」土地家屋調査士の魅力に気づき始めたことがあります。
2. 他士業から流入が加速する「高単価構造」の魅力
私の周りでも、行政書士や司法書士から土地家屋調査士に挑戦する人が増えています。 行政書士は知名度も高く人気ですが、ライバルが多く数万円単位の案件をこなす薄利多売の構造になりがちです。一方、土地家屋調査士は「1発の報酬の大きさ」が際立っています。
調査士の単価イメージ(一例):
土地の確定測量なら1件40万円前後、規模や地域・難易度によっては100万円近くいくこともあります。
行政書士で相続や農地転用を扱い、その流れで土地・建物の登記を自分一人で完結させる。この「自社完結型」のビジネスモデルが、高収益をもたらします。この旨味に気づいた「賢い層」が今、流入しているのです。
3. 土地家屋調査士の将来性|AIが仕事を奪えない理由
「土地家屋調査士の将来性は?」「「仕事なくなる?」という不安はよく分かります。
受験を迷っている人の中には「将来AIに仕事を奪われるのでは?」と不安になり、受験をやめてしまう人もいます。しかし、現役の私から見れば、それは「現場を知らない人の取り越し苦労」でしかありません。
そんな誤解でライバルが勝手に脱落してくれる今は、実は絶好のチャンスです。現時点でAI単体が実務を完結させるのは、以下の理由から極めて困難です。
- 官公庁の運用上の壁:法務局や市役所の現場は今だに印鑑・対面の世界です。AIや自動処理では対応できないアナログな運用ルールが根強く残っています。
- 機材精度と現地条件:最新のGPS等も、登記に求められる精度や障害物の多い現地では、人の手による細かな補正が不可欠です。
- 境界は「感情」の産物:境界立会いは人間同士の交渉です。AIに藪(やぶ)を漕いで杭を探し、隣人と合意形成をすることはできません。
最新技術は「敵」ではなく、仕事を効率化する「道具」です。AIへの過度な不安で周囲が躊躇している間に、一歩踏み出した人だけが先行者利益を得られます。
4. 20〜30代の若手が「短期合格」して無双できる理由
受験者数が増えている今、合格を勝ち取っているのは圧倒的に若手層です。ここには、おじさん世代が太刀打ちできない「情報収集力」の差があります。
20〜30代はネットを駆使して、効率的な勉強法や最新の試験傾向を爆速でキャッチする「ネットリテラシー」が合格を早めます。数学の基礎知識も残っているため、1〜2年での一発合格が珍しくありません。
実際に私も、正しい戦略を立てることで独学・半年という短期間で一発合格を掴み取ることができました。
参考:【実体験】独学半年で合格した私の勉強スケジュールと戦略
5. 【警告】肩のアザ、離脱率80%。それでも目指すか?
ここからが予備校が書けない“超リアルな現状”です。私のこれまでの体感では、入社した新人の離脱率は、1年未満で80%、3年でほぼ100%です。(※あくまで筆者の経験による相場感であり、事務所や地域により差があります)
重い器械(TS)を肩に担ぎ、道なき斜面を登り続ける日々。数日現場が続けば、肩にはベルトが食い込んだ「内出血のあざ」がくっきりと残ります。
夏の酷暑、滝のような汗。これほどの肉体労働だとは思わずに参入した若者は、この痛みに耐えられず去っていきます。 だからこそ、この「過酷なフィルター」を修行と割り切って生き残った人間だけが、空きまくった椅子に座り、市場を独占できるのです。
6. 椅子は空いている。だが「営業力」がなければ座れない
ベテラン調査士が引退し、市場には確実に「空席」が生まれています。しかし、勘違いしないでください。資格を取ったばかりの新人に、自動的に仕事が舞い込んでくることはありません。 独立開業して食っていくなら「コミュ力」と「営業力」は必須です。銀行やハウスメーカーに自分を売り込み、信頼を勝ち取る。このプロセス抜きには、どれほど受験者数が回復しようが将来性はありません。
- 仕事は「人」から来る:取引先に自分を売り込み、信頼を勝ち取る「営業」ができなければ宝の持ち腐れです。
- 若さ × 営業力の相乗効果:若ければベテランから可愛がられ、仕事を紹介してもらえる確率は上がります。しかし、それはあなたが「動ける・話せる」ことが前提です。
まとめ:将来性は「ある」のではない、「作る」もの
ベテランが大量に引退し、新人の8割が脱落していく。この歪な構造こそが、最後まで残った人間にとっての「勝ち確」の入り口です。
- 着実な回復:令和2年を底に、受験者数は直近5年で回復傾向にある。
- アナログの運用壁:役所の実態と人の判断が必要な限り、将来性は盤石。
- 営業力という鍵:資格は入場券に過ぎない。営業力で市場を奪い取る気概を持て。
資格を取って満足するのか、それともこの歪な業界構造をハックして独立し、自由を掴むのか。覚悟が決まったなら、今すぐ最短ルートで合格を目指してください。

