土地家屋調査士を取りたいと思っているんだけど他にも持っておいたほうがいい資格ってあるかな?
色々持ってたほうが失業のリスクが低いと思うんだけど・・・
このような疑問にお答えします。
土地家屋調査士の中には他の資格を持っており、兼業している人も多く存在します。
資格は腐るものではありませんし、勉強するほど知識の補充になります。
土地家屋調査士試験のみ受験するのではなく、他の資格と一緒にダブル受験(同時取得)しようと考える人もいるでしょう。
今回は土地家屋調査士との相性が良い&ダブル受験ができる資格をご紹介します。
オススメとして紹介する資格は5つです。
- 測量士
- 建築士
- 宅地建物取引士
- 行政書士
- 司法書士
私自身も土地家屋調査士以外に行政書士や宅地建物取引士、管理業務主任者、日商簿記2級などの資格を所有しています。
土地家屋調査士と相性がいい資格
測量士
測量士と土地家屋調査士の違い
測量士は国交省、土地家屋調査士は法務省管轄の国家資格です。
土地家屋調査士と測量士の違いは「登記ができるかどうか」ですね。
土地家屋調査士といえば境界確定測量をした後に土地を分ける分筆の登記をする場合がありますが、このパターンでは測量士が受任者にはなれません。
単純に土地の広さを測る場合は測量士でもOKです。
測量士のメインの仕事は公共の建築物を作る際に行う測量です。
例えば橋や道路が新しく作られる場合には器械を使って測量している方を見かけることがあると思いますが、その方たちが測量士です。
兼任するメリット
測量士と土地家屋調査士の仕事はどちらも器械を使って測量するという点では似ています。
現場作業にも共通する部分がありますね。
「〇〇測量事務所」という屋号で土地家屋調査士の業務を行っている会社も見かけます。
私の周りには測量士→土地家屋調査士という流れで資格を取得している人が多いです。
測量士を先に取得する理由は測量士を持っていることで土地家屋調査士試験の午前の部の試験が免除されるからですね。
この二つの仕事を兼任することはできます。
上手く営業ができればダブルライセンスで結構稼げます。
難易度的には土地家屋調査士試験の方が難しいので、年内でダブル受験するのではなく、どちらか一方を取得してから翌年にもう一方を取得する方が良いと思います。
測量士の試験日程
測量士と測量士補の試験は同日行われます。両者は試験時間がかぶっているので同時に取得することはできません。
土地家屋調査士試験のためにいきなり測量士の取得を目指しても良いですが、測量士補に比べると難易度が急上昇するので注意です。
土地家屋調査士の方が本命の場合は無難に測量士補を受けてもOKです。
ただし、測量士として独立開業を考えている場合は将来的には測量士の資格が必須になります。詳しくはこちらに書いています。
建築士・宅地建物取引士
土地家屋調査士として働いていると建築士や宅地建物取引士と絡む機会が多いです。
これらの職業は土地や建物の売買に関係がある職業だからですね。
建築士や宅地建物取引士と土地家屋調査士を兼業している人はたまにいます。
ただ、一人で全部の仕事を請け負っているというよりは、補助者や事務員を雇って仕事を分担させているパターンが多いと思います。
売買契約→測量→契約締結(決済)まで一人で行うというのは中々骨が折れますし、忙しすぎて無理だと思います。
また、必要となる知識も異なるので、最初から二足の草鞋を履くような真似はしない方がいいかもしれません。
建築士の試験日程
一級建築士の学科試験は7月12日(日)、「設計製図の試験」は10月11日(日)です。
二級建築士の場合は学科試験は7月5日(日)、「設計製図の試験」は9月13日(日)です。
どちらも土地家屋調査士試験の直前に行われます。
どうしてもどちらも欲しいという人は測量士補→土地家屋調査士→建築士という順序で受験するのが良いと思います。
※宅建は土地家屋調査士試験と受験日程がかぶっているのでダブル受験は厳しいです。難易度などについてはこちらに書いています。
参考:【経験者が解説】土地家屋調査士と宅建の難易度を比較してみた
行政書士
行政書士の主な仕事
行政書士の仕事は多岐にわたります。
土地家屋調査士とより関係があるのは「農地転用許可申請」と「開発許可」ですね。
- 遺言・相続
- 自動車登録
- 契約書の作成
- 内容証明
- ビザ
- 農地転用許可申請
- 開発許可
農地転用とは?
農地を農地以外の用途で使いたい場合には、農業委員会を経由して都道府県知事などに転用許可申請書およびその他必要な書類を提出しなければいけません。
簡単に言うと地目が田や畑になっている土地に家を建てたいので、地目を「宅地」にしたい場合には許可が必要になるということです。この届出の書類を作るのが行政書士です。
開発許可とは?
開発許可というのは、宅地造成などを行う場合に必要な許可のことです。
市街化区域や市街化調整区域内のうち、都市計画が定められている区域内で一定以上の面積で開発行為を行う際に許可が必要になります。この場合の書類づくりも行政書士の仕事です。
宅建を勉強したことがある人なら分かると思います。
よく分からないという人も実務経験を積めばいずれ耳にすることになるので今は覚えなくても大丈夫です。
行政書士を持っていると「農地転用(行政書士)」→「地目変更の登記(土地家屋調査士)」とか、「開発許可(行政書士)」→「確定測量(土地家屋調査士)」→「建物表題登記(土地家屋調査士)」などの流れで仕事を請け負うことができるわけです。
つまり一連の流れを一人でこなすことができるので独立した際に儲かるってことです。
一人でやれば他業者と書類のやり取りをせずに済むので仕事もスムーズですしね。
行政書士の受験日程
行政書士の受験時期は秋です。
令和元年度の試験は11月10日(日)に行われました。
土地家屋調査士試験は10月20日(日)です。
ダブル受験をするなら、土地家屋調査士試験が終わった後に行政書士試験を受けることになります。
土地家屋調査士→行政書士試験の日程までは40日ほどありますが、さすがにこの期間だけ行政書士の勉強をしても間に合わないです。
私は数年前に行政書士を取ったのですが、一度目の受験では1か月しか勉強をしていなかったため、知識不足で不合格でした。
二度目の受験では2か月間みっちり勉強をして合格しています。(予備校での模試を受験しています)
よほど記憶力が良い人とか行政書士の勉強の経験がある人でないなら、9月頭くらいから土地家屋調査士の勉強と行政書士の勉強を並行した方がいいですね。
個人的には土地家屋調査士に受かった翌年に行政書士を取った方が良いと思います。ダブル受験だとちょっときついですね。
司法書士
一番関係が深い資格
土地家屋調査士と頻繁に関わる業種といえば司法書士ですね。
土地家屋調査士が表題部の登記を担うのに対し、司法書士は権利部の登記を担います。
土地でも建物でも売買の際には土地(建物)表題部変更登記→所有権の移転登記などの流れである場合が多いです。
業界でも土地家屋調査士と司法書士の両方を持っている方は多いですし、表題部→権利部の流れを一人で行っている先生もたまに見かけます。
土地家屋調査士としての独立を考えているならば、司法書士も一緒に取得しておくと便利な場面が多いと思います。
司法書士は難しすぎる
ただし、司法書士試験は土地家屋調査士試験とは比較にならないほど難しいです。
人によっては「土地家屋調査士の方が難しい!」ということもありますが、個人的にはどう考えても司法書士の方が難しいです。
合格率は2.8~3.2%程度しかありません。
司法書士の合格までの勉強時間は2000~3000時間程度です。
土地家屋調査士は1000時間程度なので勉強時間だけを見ても難易度の高さが分かりますね。
参考:【必読】土地家屋調査士に独学で合格できる勉強時間は?《半年と1年の合格パターンを紹介》
司法書士の試験日程
司法書士の試験は毎年夏に行われていますね。
前年に土地家屋調査士の試験の勉強が終わっていて、あとは試験日を待つのみ!という方は司法書士の勉強をして土地家屋調査士とダブル受験しても良いと思います。
ただ、土地家屋調査士も司法書士も受けたことがないという人はどちらか一つに絞った方がいいです。
土地家屋調査士→司法書士、司法書士→土地家屋調査士のどちらのパターンもよく見かけます。
どちらも取得するとなると2~3年は勉強漬けの日々になると思いますが、ダブルライセンスが可能になるなら間違いなく仕事の幅が広がるので一番オススメの兼業パターンですね。
余談ですが、司法書士を取得したいならば予備校は必須です。
土地家屋調査士との相性が悪い資格
土地家屋調査士との相性が悪い資格ももちろん存在します。
理由としては、業種が違いすぎて全く絡まないことが多いからですね。具体例をいくつか挙げておきます。
- 社労士
- 公認会計士
- 簿記
- 管理業務主任者
- 事務系の資格(パソコン検定など)
オススメは司法書士
やはりオススメは司法書士ですね。
土地家屋調査士×司法書士の組み合わせで独立できるなら結構稼げると思います。
実際に知り合いにもこのパターンで独立して年収が1000万円を超えている先生が何人かいます。
ちなみに土地家屋調査士として働くなら普通自動車運転免許は必須です。
都会でも田舎でも現場に向かう際には車移動になります。
ある程度の運転スキルも必要なのでペーパードライバーの方は就職の前に運転に慣れておいた方がいいです。
参考:コミュ障には無理かも!?土地家屋調査士になるために必要な条件