測量士試験に挑戦したいんだけど何から始めればいいのか分からない…という人向けの記事です。
測量士は試験を受けずに取得する人が多いので、試験に関する情報が少ないですよね。
この記事では測量士試験に合格するための方法をまとめています。
この記事で分かること
- 測量士試験の勉強のパターン(独学or予備校)
- 独学での勉強方法
- 測量士試験に対応している予備校の詳細
この記事を書いているのは現役の土地家屋調査士です。私自身の経験を踏まえて詳しく解説します。
独学と予備校のどちらがいい?
勉強方法には【独学】か【予備校】の2パターンあります。
どちらを選択するかは各々違うので確認をしましょう。
独学が向いている人
- できるだけ費用を抑えたい
- 数学が得意、または計算問題に抵抗がない
- 測量士・土地家屋調査士の実務経験者
- 身近に受験経験者がいる
- 測量士試験の勉強の経験がある
- 測量士補試験の合格者
- 時間の余裕がある(スキマ時間を含めて1日4時間は勉強できる)
予備校が向いている人
- 費用は気にしない
- 数学が苦手
- テキストを読んでも理解ができない、または理解が遅い
- 音声や映像での解説がないと不安
- 測量の知識がない
- 測量士補試験にはまぐれで合格した
- 時間の余裕がない
独学での勉強パターン
【パターン①】有資格者に教えてもらう
身近に測量士がいる場合はその人に教えてもらいましょう。とくに数学的な問題はテキストで読むよりも誰かに教わったほうが理解が早いです。
ただし、測量士は無試験で資格取得している人がほとんどです。というのも、測量士は特定の学校を卒業し、実務経験を積めば取得できるのです。
参考:測量士と測量士補の違いは?《仕事内容・難易度・勉強方法》
試験を受けて合格している人は少数派なので、測量士の有資格者に試験の知識があるとは限りません。
【パターン②】ネットやテキストで勉強する
ほとんどの人がこのパターンだと思います。
先ほども言った通り、測量士は特定の学校を卒業→実務経験で取得できるので、国家試験を受けて取得する人はあまりいません。
職業自体はメジャーですが、試験を受ける人が少ないので市販のテキストやネットの情報がかなり少ないです。
ですので、完全に未経験の状態からいきなり測量士を受けるのは結構ハードだと思います。ですが、100%不可能ではないので勉強方法をご紹介します。
独学での勉強の流れ
- 測量士補の動画(YouTube)で測量の基礎を学習
- 電卓の使い方に慣れる
- 午前(択一式)の過去問をひたすら繰り返す
- 午後(記述式)の過去問をひたすら繰り返す
この流れで勉強します。測量士試験はテキストの読み込みよりも過去問をひたすら繰り返すことが重要です。
ちなみに勉強開始時期は試験日の半年前~3ヵ月前がいいです。測量士補を持っていない人は遅くとも2ヵ月前には勉強を開始しましょう。
一日の勉強時間は2~5時間程度です。
知識がゼロの状態から勉強を始めるなら合計300時間くらいの勉強時間が必要と言われています。
測量士補を持っているか、測量の知識があるなら100時間以下の勉強でも合格可能です。
【ステップ①】測量士補の動画(YouTube)で測量の基礎を学習
いきなり測量士の勉強を開始することもできますが、下記に該当する人は測量士補の基礎から学習したほうがいいです。
測量士補の勉強をするべき人
- 測量に関する知識が全くない
- 数学の知識が全くない
測量士補の内容は、測量士の基本を学ぶ上で役に立ちます。両者の科目はかぶっているんですよね。
とはいえ、測量士補の過去問を最初から最後までマスターする必要はありません。時間のムダです。
測量士補試験の解説をしているYouTubeチャンネルがあるので、こちらにアップされている動画を2~3周しましょう。テキストで学習するより動画を見た方が効率が良いです。
参考:測量士・補合格
この段階がめんどくさい人はいきなり測量士の過去問に入ってもいいです。解説を読んでも分からない部分だけを測量士補の動画で確認してみてください。
【ステップ②】電卓の使い方に慣れる
測量士試験では電卓の使用が認められています。ただし、自分で買った電卓を持ち込めるわけではないので注意です。
カシオのSL-910GTが試験会場に置いてあり、試験中に使えることになっています。
カシオの電卓は打ち方に癖があるので、試験勉強の段階で使用方法に慣れておくことをオススメします。
アガルートアカデミーの中山先生が電卓の打ち方を解説しているので参考にしてください。
参考:測量士試験の電卓使い方マスター!①【基礎編】 | 中山祐介の土地家屋調査士・測量士補「合格」ブログ
電卓はAmazonで1,000円くらいで売っています。※本試験で使用するものは8桁のものです。本番と同じもので練習するなら10桁ではなく、8桁の電卓を買いましょう。
【ステップ③④】過去問を繰り返す
過去問は「測量士・測量士補国家試験 科目別模範解答集」を使います。
日本測量協会で販売している測量士の過去問です。5年分の問題が掲載されています。
基本的にはこの過去問だけで試験対策をします。注意点ですが、この過去問は市販されていないので日本測量協会に問い合わせをして購入する必要があります。
私は日本測量協会に電話をした後に、最寄りの支部に直接取りに行きました。場所によっては在庫がない場合もあるので、詳しくは日本測量協会に尋ねてください。
ちなみに過去問はネットで検索すれば見れます。とりあえず見てみたい人はググってみてください。
午前の試験対策
日本測量協会の過去問をひたすら繰り返します。まずは午前の択一式の勉強だけでいいです。(択一式=マーク式の問題)
最初は全く理解できないと思いますが、解説を読み込み、しっかり理解するようにしてください。
だいたい、5周程度すれば7割くらいは理解できるようになると思います。(※計算問題は10周)
それから、択一式では毎年、10問ほど計算問題が出題されますが、計算問題は過去問の解説だけでは理解できません。
とくに最小二乗法の問題は難しいので「わかりやすい測量の数学―行列と最小二乗法」というテキストで知識の補強をします。(電子書籍もあります)
この計算問題が一番の山場です。ここをマスターできるかどうかで合否が変わると言っても過言ではありません。ただし、計算問題を理解するためには、高校数学の知識が必要になります。
このテキストも高校数学の知識があることが前提となっているので、どうしても独学で理解できない場合は、後述する予備校を使って勉強しましょう。
【知識の補強】測量士&測量士補試験対策WEB
測量士や測量士補を受験する人ならほとんどの人が知っているサイトです。過去問や解説が詳しく載っているので非常に役に立ちます。
こちらのサイトにある「WEB〇×テスト」をスキマ時間などにやりましょう。知識の補強に最適です。
このテストで9割以上が取れるようになれば、午前の試験(択一式)で安定して7~8割はとれるようになります。
午前の試験で点数を稼いでおくと午後の試験がかなり楽になります。というより、午前の試験で逃げ切り(8割以上をとる)をねらうのが合格への近道です。
【測量士の合格ライン】
【午前】1問25点×28問=700点
【午後】必須問題(300点)+ 選択問題(400点)=700点
※選択問題は下記の科目から2つ選択します。
- 基準点測量
- 地形・写真測量
- 地図編集
- 応用測量
午前の択一式の点数が400点以上、かつ午前の点数と午後の点数の合計が910点以上で合格
午後の試験対策
午後の記述式の勉強は択一式の知識がベースになるので、まずは択一式を9割以上理解したあとにやればいいです。
勉強方法は午前の試験対策と同じで、ひたすら過去問を繰り返します。ただし、午後の試験は記述式の問題です。
語句を記述する問題があるので正しい漢字を書けるようにしてください。
午後の試験は必須問題×1題と選択問題×2題です。それぞれの勉強方法を解説していきます。
必須問題の対策
午後の必須問題は記述式の300点満点です。計算問題はなく、測量法や作業規定の準則から出題されます。
必須問題は暗記メインなので、きちんと覚えていれば高得点が狙えます。ですので、午前の択一式と同様で8割以上の得点を狙いましょう。
択一式と必須問題でどれだけ点数が稼げるかが合否の分かれ目です。
選択問題の対策
午後の選択問題では4つから2問を選択して解答をします。
最初は全ての過去問を解いてみて、自分が得意な分野を2つ選んで集中して勉強をしてもいいです。
余裕がある場合は網羅的に勉強をしておいて、本試験では全ての問題に目を通して解ける問題を選択してください。
各科目の特徴をまとめておきます。好きな部分から学習していいです。
科目 | メインの問題 | 計算問題の難易度 | 補足 |
---|---|---|---|
基準点測量 | 計算 | 難しい | 水準測量の計算では測量士補の知識が役に立つことがある |
地形・写真測量 | 暗記 | 簡単~普通 | 実務経験が無いと作業のイメージがつきにくい |
地図編集 | 暗記 | 簡単~普通 | 暗記が多いが計算問題が少ないし、簡単 |
応用測量 | 計算 | 難しい | 計算問題の難易度が高いが、測量士補の知識で解ける場合もある |
記述式の書き方のコツ
記述式では語群から解答を選ぶパターンと、自分で文章を書くパターンがあります。
「〇〇について25字以内に解答欄に示せ。」という感じの問題です。自分で考えた文章を解答欄に書く必要があります。
ゼロから文章を考えるのは難しそうですが、出題のパターンは決まっているので過去問の解答パターンをそのまま覚えてOKです。
解答のコツは、まずは要点となる語句を箇条書きにした後に文章にすることです。いきなりキレイな文章を書こうとしないことが重要です。
測量士・測量士補国家試験 受験テキスト
日本測量協会で販売している測量士試験のテキストです。タウンページ並みに分厚いです。
測量士試験に対応している唯一のテキストですが、このテキストを最初から最後まで読むことは絶対にしないでください。時間のムダです。
たまに辞書的に使うだけなので、無くても合格はできます。測量士試験は過去問をひたすら繰り返すことが重要なので、テキスト的なものは重要ではないんですよね。
ちなみに、過去問と同様でこのテキストも市販されていません。日本測量協会に問い合わせをして購入する必要があります。
さて、独学の勉強方法はここまでです。ここからは測量士試験に対応している予備校を紹介します。
計算問題が苦手な人は予備校の利用を検討しましょう。
測量士試験に対応している通信講座
「アガルートアカデミー」と「東京法経学院」には測量士試験に対応した通信講座があります。
講座の特徴をご紹介します。
アガルートアカデミー
- スマホ・タブレット・パソコンで視聴可能
- 倍速機能がある
- 質問制度で講師に質問できる
- 動画は一本5分程度。スキマ時間を使って勉強できる
- テキストがフルカラーで見やすい
- 全額返金制度あり(合格すれば受講費用が返金される。※条件あり)
- お祝い金制度あり
アガルートアカデミーでは定期カウンセリングというオプションをつけることができます。
定期カウンセリングでは講師が直接、毎月1回30分程度のカウンセリングを実施します。学習の進捗状況等をヒアリングしながら、学習上の疑問点等に答えてくれます。
アガルートアカデミーの講義は全てオンラインでの視聴です。対面授業ではないので、自分の好きな時間に講義を視聴することができます。また、午後の選択問題もすべて解説してくれるので、どの科目を選択してもOKです。
こちらの動画で講座の内容を詳しく紹介しています。
動画:【測量士試験】合格総合講義 基線ベクトル サンプル講義 中山祐介講師
アガルートアカデミーの公式サイトはこちら↓
公式サイト:アガルートアカデミー
東京法経学院
- 通信・通学どちらも可(通学の場合は東京校)
- 添削あり
- 合格者全額返金お祝い制度あり
東京在住で通学による受講がいい場合は東京法経学院でもOKです。
アガルートアカデミーよりも若干安めですが、フルカラーテキストが好きな人には不向きかもしれません。
ただ、東京法経学院の方が知名度が高いので、好みで選んでください。
公式サイト:東京法経学院
計算問題が苦手なら予備校を使おう
測量士補を持っている人でも測量士試験の計算問題でつまずく人は多いです。
ですので、数学が苦手な人や分厚いテキストを読みたくないという人はアガルートアカデミーの講座を受講したほうがいいです。
数学が得意な人や時間的に余裕がある人は独学でもOKです。
ちなみに勉強開始時期は試験日の半年前~3ヵ月前がいいです。測量士補を持っていない人は遅くとも2ヵ月前には勉強を開始しましょう。
また、土地家屋調査士と測量士のダブルライセンスを目指している人は「測量士→土地家屋調査士」の順に受験してください。
測量士試験の合格者は土地家屋調査士試験の午前の部の試験が免除されるので効率よく資格を取得できます。
ちなみに測量士補でも土地家屋調査士試験の午前の部の免除ができます。土地家屋調査士がメインなら測量士ではなく、測量士補のほうがオススメです。(測量士補のほうが簡単なので)