
「土地家屋調査士試験、何回も落ちてしまう…」
頑張っているのに結果が出ないと、勉強法だけでなく、受験そのものが不安になりますよね。
現役調査士として見ている限り、何回も不合格が続く人は「才能がない」というより、詰まり場所がズレたまま積み上げているケースがほとんどです。
【こんな疑問はありませんか】
- 土地家屋調査士は平均で何回目に合格する?何年かかる?
- 択一式はやっているのに、点数が安定しない(毎回ブレる)
- 記述式が不安で早めに手を付けたが、結局どっちも中途半端になっている
- 教材を増やしたのに、むしろ混乱してしまった
- 作図や計算が遅くて、時間切れになる(自己流のまま進めている気がする)
- 独学でやっているが、どこが減点されているのか分からない
【結論】何回も落ちる原因は「才能」より“詰まり場所”。まず診断して、順番を直せば止まります
- 土台:択一式(特に不動産登記法)が固まっていないのに記述式へ焦ると、両方が中途半端になりやすい
- 目安:記述式に本格的に入るのは「過去問10年×8割が安定」してから(焦り対策の妥協案もあります)
- 伸びない典型:武器不足(複素数計算・道具・手順)/教材迷子(増やしすぎ)/振り返り不足(ミス分類なし)
- 独学の盲点:第三者採点がないと、作図の癖や用語の思い込みが残る。最低でも模試で矯正
このページは主に再受験者(学習経験者)向けに書いています。初学者の方も読めますが、すでに過去問を回している人は、1周目・2周目の説明は自分の周回数に置き換えて読み進めてください。
記事の目的は反省会ではなく、明日からの立て直しを決めることです。
まず診断:あなたが詰まっているのはどこ?(YES/NOで5タイプに分ける)
ここでは反省会はしません。明日からの打ち手を決めるための診断です。
直近の本試験がない方は、模試・答練・過去問演習の状態で答えてOKです。
YES/NO診断(9問)
- Q1:直近の本試験(または模試)で、択一式の基準点を安定して超えている(YES/NO)
- Q2:不動産登記法の過去問10年分を通しで解いたとき、正答率が8割前後まで安定している(YES/NO)
- Q3:択一式が不安なのに、焦って記述式の比重を増やしている(YES/NO)
- Q4:記述式で、作図・計算・申請書のどれかが「自己流のまま遅い/ミスる」感覚がある(YES/NO)
- Q5:教材が増えがちで、似た内容のテキストや問題集を複数持っている(YES/NO)
- Q6:間違えた原因を「知識不足/読み違い/時間切れ」に分けて、次の修正に繋げている(YES/NO)
- Q7:模試(第三者採点)を受けて、答案のクセや減点ポイントを確認したことがある(YES/NO)
- Q8:記述式に入ると、択一式(特に不動産登記法)の勉強が止まりがち(YES/NO)
- Q9:直前期に新教材に手を出したり、生活リズムが崩れて失速した経験がある(YES/NO)
判定(タイプA〜E)
- タイプA:勉強の優先順位・比重がズレている(Q1がNO または Q2がNO、または Q3がYES、または Q8がYES)
- タイプB:武器不足(テク・道具)(Q4がYES)
- タイプC:教材迷子(教材マニア)(Q5がYES)
- タイプD:振り返り不足(改善ループなし)(Q6がNO)
- タイプE:矯正不足(第三者採点なし)(Q7がNO)
補足:Q9がYESの人は、タイプの前に「直前期の事故(新教材・生活リズム崩壊)」を最優先で潰してください。事故を繰り返すと、どのタイプでも伸びが止まります。
あわせて確認:Q8がYESの人は、記述式に入った瞬間に択一式(特に不動産登記法)が止まりやすい状態です。これは直前期事故の“前段階”になりやすいので、タイプAで扱う「勉強の優先順位・比重の立て直し」を先に直してください。
【タイプA】択一式が固まってないのに、記述式に焦っていない?(勉強の比重がズレている)
何回も落ちる人で一番多いのがこのタイプです。勉強時間が足りない/基礎が固まっていない状態で、焦って記述式にも手を付けてしまい、結果として択一式も記述式も中途半端になります。
Q8がYESの人もこれに当てはまります。記述式の勉強を始めた瞬間に択一式が止まると、不動産登記法の土台が痩せて、記述式の理解も点も安定しにくくなります。
このタイプの典型症状
- 択一式が基準点を超えない、またはギリギリで安定しない
- 記述式も触っているが、理解が浅く点が安定しない
- 記述式に時間を取られ、択一式(不動産登記法)がさらに弱くなる
-
記述式に入った途端、択一式(特に不動産登記法)が止まりがち(Q8)
原則:記述式に本格参入する目安
原則として、記述式に本格的に入る目安は択一式の過去問10年分を通しで8割程度、安定して解ける状態です。
とくに不動産登記法の基礎が固まっていないと、記述式で必ず足止めを食らいます。
「でも、早めに記述式にいかないと不安…」への妥協案
その焦る気持ちは分かります。私も初学のときは「早く記述式を知らないと間に合わない」と思いました。
ただ、択一式がガタガタの状態で記述式をやっても、問題を深く理解できず、点が安定しません。
妥協案として、択一式を1〜2周した段階で、記述式の過去問を1問だけ見てみてください。初学者ならほとんど分からないはずです。ですが、択一式の知識が「記述式でどう使われるのか」を体感できます。
「最終的にここをスラスラ解けるようになる」というモチベーションにもなるので、やってみる価値はあります。
明日から2週間でやること(択一式の回し方)
ここは初学者向けにも書いていますが、再受験者(学習経験者)は自分の周回数に合わせて置き換えてOKです。すでに過去問を回している人は、1〜2周目の話は飛ばして、3周目(弱点抽出)から始めても構いません。
ポイントは、付箋や単語帳などの復習ツールを最初から作らないことです。1〜2周目は全部が復習対象になり、付箋だらけになって破綻します。
- 1周目:宇宙語でOK。解説を読んで少しずつ理解を増やす(正答率は気にしない)
- 2周目:なんとなく読めるがまだ苦戦して正常。解説をよく読み「頻出の型」を作る
- 3周目:できる問題/できない問題が分かれてくる。ここから弱点抽出に切り替える
- 付箋:3周目から。何度もミスる論点だけ貼る
- 単語帳(アプリ):3周目から。目安は「半分くらい理解できるようになってから」。それ以前は全部が復習対象で破綻する
隙間時間の使い方も重要です。記述式は作図や計算があり、どうしても机上の勉強になりがちです。だからこそ、択一式は通勤・休憩などの隙間時間にねじ込める形を作るべきです。
私は択一式の勉強は「紙」ではほぼやりませんでした。テキストをPDF化し、電子書籍のようにスマホやタブレットで見ていました。間違えた問題は、スマホの単語帳アプリで自分仕様の一問一答を作って潰しました。
【択一式の忘却対策】
- まず一度、択一式の過去問を8割程度まで安定させ、弱点は付箋や単語帳で潰す
- その上で、記述式期でも定期的に「択一式を最初から回し直す日」を作って基礎を固めたままにする
- 私は2週間に1回、択一式の過去問を一周し、忘れていた論点や言い回しをアプリにメモしていました
参考:不動産登記法を最短で固める(民法の優先順位と、記述式へのつなげ方)
参考:択一式が安定する「解き方の型」(満点合格者の3つの鉄則)
【タイプB】努力してるのに伸びないなら、“武器”が違うかもしれない
次に多いのが、勉強量はあるのに伸びないタイプです。原因は単純で、作図・計算・申請書の効率の良い進め方(武器)を知らず、自己流で戦っているケースです。
このタイプの典型症状
- 作図が遅い/ミスる(定規の使い方・手順が定まっていない)
- 計算が遅い/立式で詰まる(現代の試験に合う方法を使っていない)
- 申請書が場当たり(パターン化できていない)
エピソード:複素数計算を知らずに落ち続けていた人
現代の土地家屋調査士試験は、関数電卓による複素数計算が実質必須です。理由はシンプルで、その方が圧倒的に計算が速いからです。
私の知人に、複素数計算を知らずに何度も不合格になっていた人がいました。その人は昔ながらの複雑な計算式をわざわざ立式して計算していたのです。
そこで複素数計算を教えたところ、その年に合格しました。計算力の問題というより、武器を持っていなかっただけだった、という話です。
参考:複素数計算を“武器”にする(関数電卓で計算が一気に速くなる)
作図も同じ:道具と手順で差がつく
試験用の三角定規ではなく、一般的な三角定規を使っている人もたまにいます。これは努力不足というより、下調べ不足です。正しい道具やテクニックを知らないまま受験してしまっています。
対策は、「この試験の特徴」と「解答テクニック」「必須の道具」を一通り調べ直すことです。自己流のまま粘るより、まず武器を揃えた方が早いです。
【タイプC】教材を増やすほど不安が増える(そして点が伸びない)
いわゆる教材マニアのパターンです。六法や建物認定などの周辺教材を買い込み、マニアックな知識を追って時間を溶かします。
頻出論点が固まっていないのに、謎にマニアックなことばかり詳しい人は珍しくありません。現役調査士として言うと、六法を毎回引きながら勉強して一発合格する人は、ほぼ見たことがありません。
原則:最初に買うのは「択一式の過去問」だけでいい
究極、最初に買うのは択一式の過去問1冊で足ります。それを完璧にしてください。
民法で詰まるなら、そこで初めて「漫画で読む民法」などで補完すれば十分です。
択一式の時点で記述式も見たいなら「基礎演習」でOK
「どうしても記述式の中身を知りたい」「択一式の知識がどう繋がるか体感したい」という目的なら、解説付きの基礎演習を追加する程度で十分です。過去問を増やしすぎる必要はありません。
「今ある教材をやり切れていないなら、似た教材は買わない」(過去問2冊・基本書2冊は基本不要)。
買い直しが合理的なのは、法改正対応や版が古く構成が致命的に読みにくいなど「目的が明確な場合」だけです。
【タイプD】落ちた原因が分からない人は、来年も同じ所で落ちる
「何となく勉強して、何となく落ちる」を繰り返すタイプです。努力はしているのに、改善ループが回っていません。
「落ちた原因が分からない」状態を抜けるために、再受験者向けの立て直し手順(演習の組み直し/第三者採点の入れ方/予備校を使うなら“中上級・上級”の選び方)を別記事にまとめました。
参考:落ちた人向け:再受験の立て直しとアガルート中上級・上級の選び方
ミスは基本、次の3つに分けられます。ここを分けるだけで、次にやることが決まります。
ミス分類テンプレ(この3つだけ)
- 知識不足:そもそも基礎が足りない
- 読み違い:理解しているつもりだが、答案・択一の読みがズレている
- 時間切れ:手順や演習量が足りず、処理が間に合わない
ミス別の処方箋(次の2週間で直すのは1つだけ)
- 知識不足:択一式やり直し(量ではなく、理解と反復を優先)
- 読み違い:模試・答練の採点で矯正(自分では気づけないズレがある)
- 時間切れ:基礎演習不足/テクニック力不足。処理手順を見直す(該当記事へ)
全部を一度に直そうとすると、結局どれも直りません。次の2週間で直すのは、まず1つだけで十分です。
【タイプE】独学の限界は「自分で自分を採点できない」こと
独学でも合格は可能です。ただし、独学で詰まりやすいのは「自分のズレに気づけない」という点です。
なぜ模試が効くか
- 作図の減点ポイントはブラックボックスになりやすく、独学だと矯正できない
- 用語の誤読・思い込みは、採点されて初めて潰せる
明日からやること(矯正の最短ルート)
- 模試を1回入れる:答案を採点してもらい、減点される癖を特定する
- 指摘された癖をリスト化:「直す順番」を決めて、次の2週間はそこだけ潰す
- 作図は“自己採点”しない:自分の感覚と採点者の感覚のズレを前提にする
エピソード:模試で初めて気づいた「スレートぶき」
私の経験ですが、最後まで間違った言葉で覚えていた用語がありました。
屋根の種類で「スレートぶき」とあるのですが、ずっと「ストレートぶき」だと思っていたんです。
こんな些細な読み違いでも、模試で採点してもらって初めて気づけました。模試を受けなかったら、軌道修正できなかったはずです。
「切る」じゃなく「薄くてOK」を決めると、勉強が回り出す
忙しい人ほど、「全部を完璧にやろう」とすると破綻します。切ると言い切れる部分は少ないですが、深追いしなくていい部分はあります。
- 深追いしなくていい:民法(出題数は多くないので、過去問で頻出だけ押さえて不動産登記法を中心に回す)
- 時間がなければ後回し:調査士法(例年1問出るか出ないか。直前に短期暗記でも設計しやすい)
- 最後まで残す:択一式(不動産登記法)。記述式に入ってからも隙間時間で継続する
直前期にやりがちな事故(ここで毎年落ちる人がいる)
新教材に逃げる(買い替えは最終手段)
今持っている教材に致命的な欠点(法改正前・構成が致命的に読みにくい等)がないなら、買い替え不要です。
まずは一冊を仕上げるべきです。あれこれ手を付けて全部中途半端になるのが、一番だめです。金と時間の無駄になります。
生活リズム崩壊(記述式期の現実)
会社員で仕事をしながらだと、土地家屋調査士試験の勉強は大変です。
択一式は通勤時間や休憩などの隙間時間にねじ込めますが、問題は記述式です。最初は作図や関数電卓の計算の練習を机上でやるしかないので、どうしても座学になります。
だからこそ、帰宅後に座学できる時間を1〜2時間は確保したいところです。記述式に入る段階になったら、夕飯〜入浴の時間を早めるなど、スケジュールをはっきりさせておくと良いです。
記述式にある程度慣れてからは、毎日毎回作図や計算をする必要はありません。座学は3日に1回でも大丈夫です。ただし、申請書や計算問題のパターンの復習は頻回で行ってください。
記述式だけに偏る
記述式の勉強中も、択一式(不動産登記法)の勉強は続ける必要があります。記述式は机上になりやすい分、隙間時間で択一式をねじ込む方法を模索すべきです。
まとめ:何回も落ちる人は「やり方」を変えれば止まる
何回も落ちる原因は、才能というより「詰まり場所」のズレです。だからこそ、やるべきことは反省ではなく、順番の修正です。
- まずは診断して、タイプ(A〜E)を決める
- タイプA(勉強の優先順位・比重のズレ)を土台に、該当するタイプの対策を上乗せする
- 民法・調査士法は深追いせず、不動産登記法を最後まで残す
- 直前期は新教材に逃げず、生活リズムを崩さない
- 独学でも最低1回は模試を受け、採点でズレを矯正する
よくある質問(FAQ)
Q. 土地家屋調査士の平均受験回数・何回目で合格・何年かかる…結局どれが現実ですか?
理由は、勉強時間の確保(仕事・家庭)、独学か予備校か、既学習(司法書士・行政書士など)の有無で、受験回数も年数も大きくブレるからです。
一例:アガルートの受講生アンケートでは、受講以前の受験回数を含めると「2回以上受験した人が7割弱」という結果が紹介されています。一方で、受講後は「1回目の受験で合格した人が半数」という結果もあります。
ただし、これは全受験者の統計ではなく、母集団が限定されたデータなので「目安」として見てください。
私の周りの体感(あくまで経験則):
・一発合格:1〜2割
・2回目合格:3割前後
・3回目以降:5割前後
年数で言うと、1年未満は1割程度、2年が3割、3年目以上が5〜6割くらいの感覚です。司法書士・行政書士など既学習がある人は、短期合格の傾向があります。
なので、平均を見るより、この記事の診断で「自分は何が原因で止まっているか」を特定して、順番を直した方が早いです。
Q. 土地家屋調査士で一発合格は可能ですか?
ただし「根性」ではなく、最初の戦略(優先順位・比重・スケジュール設計)でほぼ決まります。
言い換えると、戦略の時点で破綻していると一発は厳しくなります。短期合格の進め方は別記事でまとめています。
参考:半年独学で一発合格した勉強法(スケジュール公開)
参考:1年で一発合格した勉強法(現実的な回し方)
Q. 口述試験で落ちることはありますか?
緊張して言い回しが拙くても、それだけで落ちるものではありません。最低限のマナーと準備だけ押さえれば十分です。
口述の不安は別記事で整理しています。
参考:口述試験は落ちる?不安な人が押さえるべき準備の要点
Q. 文系でも土地家屋調査士に合格できますか?
この試験は、数学的な立式や計算がゼロではありませんが、全体としては「暗記+理解」の比重が大きい印象です。
計算や作図は、反復練習とテクニック(武器)で十分に巻き返せます。「数学が得意かどうか」より、手順を型に落とせているかで差がつきます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
受験回数や年数は目安にはなりますが、合否を分けるのは「詰まり場所」を直せるかどうかです。
この記事の診断を起点に、順番と仕組みを整えていきましょう。

