
「土地家屋調査士って本当に儲かるの?」「年商1,000万なんて可能なの?」
こうした疑問を持つ方は多いですが、結論から言えば年商1,000万円は十分に可能です。
ただし、自営業の「年商1,000万」とサラリーマンの「年収1,000万」は、意味が全く違います。
この記事では、一般論を排除して、私の事務所のリアルな数字と「稼げる側」に行くための戦術を公開します。
- 売上(年商)1,000万:ここから経費や税金を引く前の「事務所に入ったお金」
- 手残り(年収):ここから器械代、車、保険、税金を引いて残る「自分の取り分」
- 難易度:1人事務所で年商1,000万は「正直かなりハード」なライン
私は2018年に半年の独学で土地家屋調査士試験に合格し、その後すぐに登録・独立しました(※)。 全くの初心者から業界に飛び込み、現在は独立8年目。1人事務所で年商1,000万円を安定して維持しています。 今回は、「結局いくら手元に残るのか?」という生々しい話をベースに、さらにその先の「年商2,000万〜1億の世界」まで解説します。
(※)※ここでいう「即独立」は“就職ルートを通らない”という意味です。実務ゼロで独立したのではなく、新人実務研修などで実務の下地を作ってから段階的に進めました。
【この記事で分かること】
- 独立1年目〜5年目までの売上推移(実例)
- 年商1,000万のうち「手元にいくら残るか」の計算式
- 年商2,000万(公嘱)、年商1億(経営者)の世界
- 1人で回す限界と、深夜の職務質問などの「現場のリアル」
- 最新ツールとAIを駆使した「異常なまでの効率化」の実態
ぶっちゃけいくら残る?「手残り」のリアルな計算式
読者が一番知りたいのはここだと思います。売上から経費・税金・内部留保を引いたあと、生活費としていくら使えるのか。
生活費として月50〜60万円残すための目安(案件ボリューム)
土地家屋調査士の仕事、特に土地の案件は完了までに数ヶ月かかるのが当たり前です。そのため「毎月これだけ新規を受任する」というより、「常にこれだけの件数を同時並行で回している」という状態が目安になります。
私の体感として、以下のボリュームを常に動かせる状態(新規+既存の仕掛品)を維持できれば、月50〜60万円の手残りは現実的になります。
- 土地(確定測量など):常に4〜5件が並行稼働している
- 建物(表題登記など):月に1〜2件をコンスタントに処理する
この「新規」と「数ヶ月かけて進める既存案件」を組み合わせて回すことで、売上 - (経費 + 税金 + 内部留保) を引いたあとに、生活費として月50〜60万円(やり方次第ではそれ以上)残るケースが多いです。
- 月50万円残る場合:50万円 × 12ヶ月 = 年600万円(額面年収800万〜相当)
- 月60万円残る場合:60万円 × 12ヶ月 = 年720万円(額面年収900万〜相当)
これを「少ない」と感じるなら、独立は向いていません。逆に「1人でこれだけ残るなら十分だ」と思えるなら、土地家屋調査士は非常に目指す価値のある資格です。
ただし、この利益を1人で稼ぎ出すには、相応の労働量と、文字通りの体力勝負が前提になることは覚悟しておくべきです。
【年商別】調査士業界の「稼ぎのステージ」
① 年商1,500〜2,000万円の世界(公共嘱託)
公共嘱託(いわゆる公嘱)をたくさん受けている人は、このラインに届きやすく、かつ安定していることが多々あります。
公嘱はベテラン勢が役所との長年の付き合いで独占しているイメージがあるかもしれませんが、新人が参入できないわけではありません。
むしろ、コミュ障などで自分から営業に行けない人こそ、公嘱は向いています。継続案件が多いですし、実直に続けていれば役所の信頼度が上がり、「〇〇先生なら安心して任せられる」というパターンになります。
② 年商1億円の世界(大規模事務所の代表)
事務所規模が10人以上となると、年商1億も見えてきます。銀行や大手のハウスメーカーと太く繋がれるコネ(特に銀行が強力です)があるなら十分に可能です。
このレベルになると、代表者は現場に出ることはほぼなく、もっぱら外回りと営業に徹します。経営者側にまわるメンタルと営業力に自信があるなら目指す価値はありますが、社員を抱える分、責任も重くなります。
【実録】1人事務所で年商1,000万を回す限界
私の独立後の売上推移は以下の通りです。
独立後の売上推移
- 1年目(半年):300万円
- 2年目:700万円
- 3〜5年目:1,000万円(安定期へ)
- 6〜8年目:1,000〜1,200万円(効率化により高止まり)
はっきり言って、1人で年商1,000万はなかなかハードです。
1人でどこまでやれるか問題
調査士は現場作業が必須です。1人で回せる現場もありますが、やはり2人いないと絶対に無理なパターンも多いです。そのため、手伝いに来てくれる助っ人の確保は必須になります。
うちは夫婦で経営しており、妻が出られる場面では妻が器械手をしています。妻が出られない時は、同業者に来てもらいます。あまりにも外注しすぎると経費が嵩むため、極力1人でやることが多いですが、その場合は現場での体力の消耗が激しくなります。
一方で、独立の最大のメリットは「案件の受け方を自分で決められる」点にあります。自分のライフスタイルに合わせて仕事量をコントロールする意識を持てば、ブラックな環境を回避することも十分に可能です。
「現場帰りの職務質問」を受けるほどの忙しさ
実話:夜10時の職務質問
知人の土地家屋調査士の先生が、夜10時に現場先から事務所へ帰る途中に警察に止められ、職務質問をされたことがあります。
現場車は色んな機材を乗せているので、何らかの犯罪集団だと間違われたらしいです。それくらい遅くまで現場を回すことも、稼ぐためにはあり得る現実です。
未経験でも「稼げる側」に行くための4つの鉄則
① 価格を下げすぎない(高単価・高品質の維持)
個人の事務所で薄利多売をするのはかなりキツイです。私は普通より高めの見積もりを出すことも多いですが、その分、早くて丁寧な仕事を心がけてリピーターを増やしています。
② 「変な人」もネタにする強靭なメンタル
土地家屋調査士は、特に隣接者対応などで「変な人」と関わることが非常に多いです。豹変する隣接者のストレスすらも、士業の飲み会などでネタにして昇華させるのが、生き残るコツです。
③ とことん「作業効率」を突き詰める
土地家屋調査士として1人で1,000万円を回すなら、普通の「効率化」では足りません。事務作業が遅い人は、1人で1,000万はまず無理だと思ってください。
私は実際に、以下のような仕組みを構築してようやく回しています。
管理人(私)が実践している超効率化
- 案件管理・日報アプリの自作:ローコードツールを使い、自分専用に完全カスタマイズ
- AI搭載イヤホンマイクの活用:電話の会話内容をAIに要約させ、自動で案件管理に紐付け
- テンプレのマクロ化:よく使う書類はすべてマクロを組んで一瞬で作成
- 自作の経理管理表:関数を駆使し、最小限の入力で数字を把握
ここまでやって、ようやく時間が確保できる世界です。やるならとことん作業効率を上げるべきです。
④ 営業力を磨き「入口」を増やす
少数の依頼人に依存しすぎず、士業仲間や地元の工務店など、多方面に顔を出して自分の入口を広げてください。とにかく顔は広いほうが絶対に役に立ちます。
5. 「稼げる側」に一刻も早く回るための戦略
高収入を実現するには、一刻も早く試験に合格し、「実務経験」と「人脈」を作るステージに上がることが重要です。独学で数年費やすよりも、予備校で時間を買って「最短一年」で開業切符を手に入れる方が、生涯年収は何倍も大きくなります。
まとめ:1,000万は「ゴール」ではなく「通過点」
- 売上1,000万は到達可能だが、事務能力と体力が必須
- 自作アプリやAIマイクまで駆使する「超効率化」を意識せよ
- 最優先は一刻も早く合格し、実務と営業の場に出ること

