土地家屋調査士試験の択一って過去問だけやればいいの?
独学で勉強してるんだけど、過去問だけじゃちょっと不安。
オススメの勉強方法とかあったら知りたい。
そんな疑問に答えます。
私は現役の土地家屋調査士です。1年の独学で未経験から一発合格しています。
本番での択一式の得点は満点でした。
参考:《土地家屋調査士》1年の独学で合格した勉強方法【完全初心者】
土地家屋調査士試験は択一式と記述式がありますが、効率よく合格したいなら択一の問題で高得点を取るべきです。
というか択一で点数が稼げないと合格するのはかなりキツイです。
では、択一で高得点を取るためにはどのように勉強すればいいのか?
このテーマについて今回解説していきます。
この記事を読むべき人
- 独学で勉強をしている人
- 択一の勉強方法について詳しく解説しているサイトがないから困っている人
- 過去問だけやっても高得点がとれるとは思えない人
- 実際に過去問をやっても基準点を超えなかった人
こちらの記事は動画で見ることができます。
記述式の勉強方法はこちら。
択一式の勉強の手順
まずは大まかな流れを説明します。こんな感じです。
- 過去問をひたすら繰り返す(1~3ヵ月)
- 択一式の過去問を復習しつつ、記述式の勉強をする(3ヵ月~)
- 実践答練を解く(1ヵ月~)
- 解けなかった問題を繰り返す(択一は隙間時間に復習)
択一式は過去問を10年分くらい完璧にすれば基準点±2点はとれるようになります。ただ、点数が全然安定しないので、より多くの過去問を解くか、実践答練などを使って演習をしたほうがいいです。
というわけで、択一式の勉強する際に必要なものは下記の通りです。
- 過去問題集(日建学院か東京法経学院)
- テキスト(早稲田法科専門学院か東京法経学院)
- 実践答練(点数を安定させたいなら必須)
過去問をひたすら繰り返す
「いきなり過去問!?」・・・と思うかもしれませんが、この方法が一番効率がいいです。
最初は全ての問題を解いてみて、2周目、3周目と繰り返していくうちに解ける問題と解けない問題が出てくると思います。
3周目からは解けない問題に印や付箋などをつけて、その部分だけを重点的に解いていけばいいです。
注意点ですが、実務経験者ならともかく、未経験者にとってはかなり難しく感じると思います。
私自身も初めての受験&未経験だったので解き始めは意味不明すぎて死にそうでした。
ですが、1ヵ月目くらいでだんだん慣れてきて、3ヵ月目にはサクサク解けるようになったので安心してください。挫折しなければ絶対に理解できるようになります。
一日4時間くらい勉強できるなら3ヵ月もあれば8割くらいは理解できるようになるはずです。
法律の知識がある人や、理解が早い人なら1ヵ月~3ヵ月くらいで終わります。
土地家屋調査士 択一過去問マスターⅠ・Ⅱ(東京法経学院)
東京法経学院の過去問です。全部で2冊(Ⅰ・Ⅱ)あります。一番オススメの過去問です。
後で紹介する日建学院の過去問は過去8年分の問題しかありませんが、こちらの過去問では平成2年度~令和元年度まで収録しています。
しかも、昭和50年代の古い問題も問題文に法改正等による修正を加えて掲載しています。
全部で553問収録されており、ボリューム的には日建学院の約3.5倍あります。
また、問題→解答→問題→解答・・・というページの流れなので、勉強がしやすいです。
私が受験生だったころは販売していなかったのですが、当時も販売していたら間違いなくこちらを買いました。
ですので、個人的には日建学院よりも東京法経学院の過去問を買うことをオススメします。
ただし、この過去問は書店での販売をしていません。東京法経学院の校舎か、公式サイトから購入する必要があります。
中身を見た後に購入したい人は、実際に東京法経学院の校舎に行ってみて下さい。受付で頼めばサンプルを見せてくれることがあります。
東京法経学院の公式サイトでも購入できます。
ちなみに択一式と記述式の過去問をセットで買えば5,000円ほど安く買えるのでオススメです。
記述式の過去問はこちらの記事でもオススメしています。両方欲しい人は早めにゲットしておきましょう。
個別販売はこちら↓
土地家屋調査士 新・合格データベース(東京法経学院)
こちらも東京法経学院の過去問です。
先ほどの「択一過去問マスターⅠ・Ⅱ」との大きな違いは掲載されている問題の数と金額です。
名称 | 問題数 | 金額 |
---|---|---|
択一過去問マスターⅠ・Ⅱ | 553問 | 12,870円 |
新・合格データベース | 3,312問 | 27,500円 |
新・合格データベースは昭和41年度から令和2年度までの問題が掲載されているため、問題数がかなり多いです。
おそらく独学で手に入る過去問としては一番多いと思います。掲載量が多いので金額も高めです。
ただし、この過去問は問題編と解説編が別々になっています。
問題を解いたら別冊の解説を開く必要があるのでちょっとめんどくさいですね。外出時に勉強したい場合は少なくとも2冊を持ち歩く必要があるので、その点は不便だと思います。
また、択一過去問マスターⅠ・Ⅱと同様で東京法経学院の校舎か公式サイトで手に入れる必要があります。
土地家屋調査士 択一式過去問(日建学院)
日建学院から出版されているものです。こちらの過去問は8年分の過去問が分野別に載っています。私も使っていました。解説が分かりやすいのですが、ボリュームがないので少し物足りないです。
なので、この過去問だけで確実に本試験で高得点がとれるとは言い切れません。
私自身はこの過去問の後にメルカリで購入した実践答練(9回分)を解きました。実践答練が無ければおそらく不合格でしたね。
この過去問を購入する場合は、他の問題集や答練・模試などを使って演習したほうがいいです。
この過去問のメリットはAmazonや書店で売っているので手に入りやすいことです。ですので、まずは試験問題のレベルを知りたいという人にはオススメですね。
どの過去問がオススメ?
結局どの過去問を選ぶべきなのでしょうか?
今回紹介したものを表にしてみました。
名称 | 問題数 | 金額 |
---|---|---|
択一過去問マスターⅠ・Ⅱ(東京法経学院) | 553問 | 12,870円 |
新・合格データベース(東京法経学院) | 3,312問 | 27,500円 |
択一式過去問(日建学院) | 160問 | 3,740円 |
調査士試験は演習量が合否を左右するといっても過言ではありません。なのでたくさんの問題を解けば解くほど実力がつきます。
ですので、ボリュームを重視するなら「新・合格データベース」を買うといいです。
ただし、3,312問をすべてマスターするのはかなりキツイと思います。
択一式の勉強の後は記述式の勉強をする必要があるため、「新・合格データベース」を完璧にすることにこだわりすぎると記述式の勉強時間が足りなくなる可能性が高いです。
とくに働きながら短期合格を目指す人は気を付けて下さい。下手したら記述式の勉強に手が回らないまま本試験を迎える可能性があります。
ですので、勉強時間があまりとれない人は「択一過去問マスターⅠ・Ⅱ」がオススメです。
「新・合格データベース」に比べれば問題数が少ないですが、ある程度の基礎をつけるには553問もあれば十分だと考えています。(私自身は350問くらいの問題を繰り返していました)
「択一過去問マスターⅠ・Ⅱ」を2~3ヵ月で仕上げて、さっさと記述式の勉強に進んだほうがいいです。
もちろん、時間がある人やたくさんの問題を解きたい人は「新・合格データベース」を買ってもOKです。好きなほうを選んでください。
オススメの勉強の流れ
オススメの勉強の流れはこんな感じです。
- 択一過去問マスターⅠ・Ⅱを8割くらい完璧にする
- 記述式の勉強をする
- 実践答練や模試で択一式・記述式の応用力をつける
過去問だけでも十分だという人もいますが、やはり実践答練や模試などで普通~ちょっと難易度高めくらいの問題を解いたほうがいいです。
というのも、調査士試験は受験年度によって問題の難易度にムラがあるんですよね。
普段から応用問題を解く練習をしておけば、本番で難しい問題が出ても正解を導き出せる思考力が身に付きます。
実践答練や模試についてはこちらの記事で紹介しているので、気になる人はどうぞ。
民法を初めて勉強する場合
基本的にはいきなり過去問を解き始めてOKなのですが、法律の勉強をしたことがない人は先に民法の勉強をした方がいいです。
択一の問題の1~3問目は民法が出るのですが、全部で7.5点もあります。
調査士試験は択一の点数がかなり重要です。たった3問ですが、民法を捨てるのは絶対にダメです。
ただ、民法の初心者は過去問だけでは理解ができません。解説を見ても分からないことが多いと思います。
ですので、別のテキストを読んで基礎をざっくりと理解してから過去問を解いたほうがスムーズです。
私がオススメするのは下記のテキストです。
使い方などを詳しく知りたい人はこちらの記事を見てください。
参考:【民法改正】土地家屋調査士試験の民法はどうやって勉強する?
不動産登記法・調査士法が理解できない場合
私自身は過去問を繰り返すことで不動産登記法や調査士法の基礎を習得しましたが、最初は分からないところも多く、ネットで調べたり、知り合いの調査士に相談するなどして対策をしていました。
時間と気力さえあれば、この方法でも乗り切れるのですが、基本書を1冊持っているともっと効率的に勉強できます。
ここでは不動産登記法や調査士法を勉強する際に役に立つテキストを紹介します。
土地家屋調査士受験100講〔I〕理論編 不動産登記法と調査士法(早稲田法科専門学院)
まずは、「土地家屋調査士受験100講〔I〕理論編 不動産登記法と調査士法」というテキストです。
早稲田法科専門学院から出版されています。
このテキストは解説が堅苦しく、最初はとっつきにくいです。一読するだけでも時間がかかるので、過去問の解説を見ても理解できない部分だけをこのテキストで調べます。
注意点ですが、このテキストを最初から最後まで読み込むのではなく、過去問を解きながら理解していくほうが効率が良いです。
Amazonや楽天市場などの通販サイトで買えるので、択一の過去問を買う時に一緒に買っておくといいですよ。
土地家屋調査士 択一攻略要点整理ノート Ⅰ・Ⅱ(東京法経学院)
東京法経学院から出版されています。民法の勉強の時に使うテキストと同じです。
テキストの内容は下記の通り。
- 基本的な解説
- 関連する判例の紹介
- 練習問題
- 練習問題の解説
こちらのテキストは2冊で1セットになっています。これさえ買っておけば、基本的には他のテキストはいりません。
民法と調査士法を勉強する時はⅠを使い、不動産登記法を勉強する時はⅡを使います。
早稲田法科専門学院のテキストは「民法」「不動産登記法・調査士法」がそれぞれ別売りですが、東京法経学院のテキストは片方だけ買う・・・ということができません。
東京法経学院はセット売りしかしていないので、どちらか一方だけが欲しい人は早稲田法科専門学院を選びましょう。
また、このテキストも書店で販売されていないため、東京法経学院の実際の校舎か、公式サイトで購入する必要があります。
※人気のテキストのため、品切れになることがあります。欲しい人は在庫があるときに買っておいたほうがいいです。
テキストの読み込みは最小限にしよう
試験用の詳しいテキストが欲しい場合は、「早稲田法科専門学院」か、「東京法経学院」のどちらかを選んで買うことになりますが、どちらを買うにしても最初から最後までキッチリ読まなくてもいいです。
どちらもボリュームがあり、全て読むだけでもかなり時間がかかります。
なので、過去問を解いてみて分からなかった部分のみをテキストで確認する…という使い方をオススメします。辞書みたいに使う感じです。
ちなみに私はこれらのテキストは買っていませんが、過去問+実践答練で択一式の対策をした結果、本試験での得点は満点です。
この結果からも分かるように調査士試験はインプットよりもアウトプットのほうが圧倒的に大事なので、勉強方法を間違えないように気を付けてください。
【悲報】過去問だけでは演習不足かも
過去問が完璧でも基準点に届かないかも
ここで悲報です。過去問を全て完璧にすれば、記述式の出題内容は理解できるようになります。
ですが、これだけやっても本試験の択一で高得点が取れない可能性があります。
人によっては基準点にすら届かないかもしれないです。というのも、過去問だけではやはり演習不足なんですよね。
調査士試験は受験年度によって難易度にムラがあるので、応用問題が出ても解けるレベルまで演習をしておくべきです。
択一で逃げ切らないと合格は厳しい
調査士試験は択一で高得点を取れば、ちょっとくらい記述式で失敗しても合格が可能です。
だから、過去問+αの知識をつけて高得点(できれば満点)を狙うべきなのです。
択一で逃げ切るべき理由についてはこちらで詳しく解説しています。
参考:【土地家屋調査士】択一で逃げ切れ!合格できるベストな配点を経験者が解説
択一で逃げ切るなら過去問よりも難しい問題を解くか、よりたくさんの演習をする必要があるわけです。
また、本試験と同じ様式の問題を手に入れて、択一式→記述式の流れで解く練習もしておくべきです。
この試験はとにかく時間が足りないので、時間配分の訓練をしないと本番で大失敗します。択一の過去問と記述式の過去問まで終わったら本番形式で解く練習を必ずやってください。
参考:【土地家屋調査士試験】合格に必須な時間配分を確認しよう《択一・建物・土地》
択一の問題演習の方法
では、どうやって問題を手に入れるのか?方法は2つあります。
- 予備校の実践答練を受ける
- オークションサイトなどで問題を手に入れる
予備校の実践答練を受ける
独学のデメリットは市販で手に入れられる問題が少なすぎることです。
これは、土地家屋調査士試験が独学では無理だと言われている理由のひとつですね。
参考:土地家屋調査士試験の独学が無理と言われる4つの理由《体験談あり》
残念ながら、過去問の後に勉強するための問題集がほぼ売っていないんですよね。
なので、もっと多くの問題に触れたいと思うなら予備校で実践答練を受けるしかないです。
実践答練が受けられるオススメの予備校
実践答練を実施している予備校は全部で5つあります。
- アガルートアカデミー
- LEC
- 東京法経学院
- 日建学院
- 早稲田法科専門学院
基本的には受講回数が増えれば料金が高くなります。
個人的には実践答練の数は10回程度でいいと思っています。
というのも、10回分の問題が手に入るなら・・・
- 択一式:20問×5肢×10回分=全部で1000個の選択肢が見れる
- 記述式:土地・建物それぞれ10題ずつ=合計20問の問題が解ける
こうなります。これだけあれば十分です。全部完璧にすれば、高確率で高得点~満点が狙えます。
「これだけで足りるのかな?」と思うかもしれませんが、私自身が9回分の答練を解いただけで高得点(90点)で合格しています。
もっとたくさんの問題を解きたいなら15回程度の実践答練を受ければいいです。
このあたりは自分のレベルによって調整してくださいね。
下記のリンク先で答練や模試について詳しく解説しています。
オークションサイトで問題を手に入れる
予備校で実施されている実践答練をオークションサイトで買える場合があります。
私自身、メルカリで東京法経学院の実践答練を見つけてたので速攻ポチりました。
全9回分で3万円くらいでしたね。中古なので添削と成績通知はないですが、このあたりは模試でカバーすればOKです。
この答練のおかげで本試験での私の成績は
- 択一:満点(50/50)
- 記述式:40/50
- 合計:90/100
という高得点でした。タイミングが良ければオークションサイトで購入できるので気になる人はチェックしておくといいです。
有名どころだとこの辺りです。
- メルカリ
- ヤフオク
- ラクマ
(裏技)解けなかった問題はアプリにメモしよう
問題を解いていると何度も間違えるものや覚えにくいものが出てくると思います。
そういう問題は紙にメモして隙間時間に見れば記憶の強化につながります。
ただ、紙に書くのも、それを持ち歩くのもめんどくさいと思いませんか?荷物が増えるし邪魔ですよね。
というわけで、私はスマホのアプリを使って「自分専用の問題集」を作っていました。
「テスト用暗記アプリ」などで検索すれば色々出てくるので自分が使いやすいものを探してみてください。紙に書くよりも手軽なのでオススメです。
この他にも効率的に勉強をする方法があります。動画にまとめたのでよかったらどうぞ。
まとめ:とにかくひたすら復習しよう
択一の勉強方法まとめ
- 最初はひたすら過去問
- 民法が分からない人はテキストで知識の補強
- 過去問だけでは不十分なので実践答練を受けるべき
- 分からないところはメモして記憶の強化
こんな感じ。
択一の勉強はとにかく復習が大事です。
何度も問題を見ればいつのまにか要点を覚えています。
それから、択一の勉強は記述式の基礎になります。
この段階でつまづくと、記述式を解いている時に問題が理解できない場面が増えるので気を付けてくださいね。
今回の記事はここまでです。
この記事では最初は独学→予備校の答練で演習というパターンを説明していますが、最初から予備校を使ってもOKです。
というか最初から予備校を使ったほうがスムーズです。
予備校についてはこちらで解説しています。
他のテキストについて知りたい人はこちらをどうぞ。
記述式の勉強方法はこちら。