土地家屋調査士試験はマイナー資格のため、書店の品揃えが悪く、ネット上にも古い情報があふれています。
適当なテキストを選ぶと、法改正に対応していなかったり、解説が不親切で挫折の原因になります。
この記事では、私が独学半年で一発合格した際に実際に使い、「これは必要」「これは不要」と判断した教材だけを紹介します。無駄な買い物は一切しなくてOKです。
「独学で合格するには、どのテキストを買えばいいですか？」
この質問をよく受けますが、答えはシンプルです。
「過去問だけは最高品質のものを使え。それ以外は誤差だ」
私が独学合格のために実際に使い倒した、本物の良書だけを厳選して紹介します。
- 独学合格に必須の「過去問」の正解
- 初学者が最初に読むべき「わかりやすい」基本書
- 記述式対策で挫折しないための演習本
- 過去問（択一）：東京法経学院「択一式過去問マスター」
- 過去問（記述）：東京法経学院「記述式過去問マスター」
- 基本書：早稲田法科専門学院「受験100講」
- 記述式演習：東京法経学院「合格演習テキスト」
※なお、過去問だけで4〜5万円かかります。
同じ価格帯で「動画講義＋質問サポート」まで揃う予備校講座もあるため、
学習効率を重視する人は単科講座を比較しておくと失敗しません。
【Sランク】これがないと始まらない「過去問」
択一式過去問マスターⅠ・Ⅱ（東京法経学院）
択一対策の決定版です。
日建学院などの他社版もありますが、収録問題数（網羅性）が桁違いです。
おすすめの理由：
- 収録数が553問と圧倒的（他社の約3.5倍）
- 解説が詳しく、なぜ間違いなのかが理解できる
- 「解く→解説を理解する」を繰り返せば、必ずスラスラ解ける日が来る
「いきなり過去問？」と思うかもしれませんが、これが最短ルートです。
最初は苦しいですが、この量をこなすことでしか得られない「合格の筋肉」がつきます。
記述式過去問マスターⅠ・Ⅱ（東京法経学院）
記述式（書式）も東京法経学院の一択です。
昭和41年からの膨大な過去問が収録されており、これをやり込めば「見たことのない問題」はなくなります。
圧倒的な演習量：
- 土地：39問
- 建物・区分建物：45問
- 合計84問（日建学院の約5倍以上）
【Aランク】辞書として必須「基本書（テキスト）」
私が独学で勉強していた頃、最も苦労したのは「分からない部分をすぐに解決できないこと」でした。 当時はネット情報も少なく、周りに相談できる人もおらず、過去問を解いても疑問が解消されずに立ち止まってしまう…これが最大の挫折ポイントでした。
だからこそ、過去問だけでは理解できない時にすぐ立ち返れる「辞書的な基本書」が必須です。 調べ物に時間をかけるのは非効率ですし、ネット情報は誤りも多いので、信頼できる1冊を手元に置いておくのが独学継続のコツです。
土地家屋調査士受験100講（早稲田法科専門学院）
通称「深田本」。非常に詳しく、かつ論理的に書かれています。
初学者がいきなり読むと少し難しいかもしれませんが、辞書としてこれほど頼りになる本はありません。間違っても一ページ目からコツコツと読んではいけません。あくまでも「辞書」です。
これら4点が、私が半年で一発合格したときに実際に使用していた教材のすべてです。
「まず何を買えばいいの？」という人は、このセットから揃えてください。
【民法初心者へ】まずは「漫画」から入れ
民法は、過去問をいきなり解いても全く理解できないはずです。
宅建や行政書士を持っている人はスルーでOKですが、完全初心者は解説を読んでも宇宙語にしか見えません。
無理せず、まずは「漫画」で基礎を掴んでください。「漫画でいいのか？」と思うかもしれませんがOKです。初心者でも挫折せずに取っつきやすいものがベストです。
基礎的な内容さえ分かればあとは過去問で演習です。全く知識がない状態ではチンプンカンプンだった問題がなんとなく分かるようになり、やがて深く理解できるようになります。
【Bランク】記述式（書式）の攻略セット
① 計算・関数電卓｜ブログ記事で十分
計算問題の基礎は、測量士補レベルを忘れていなければ大丈夫です。忘れている人はこちらのページで軽く復習しましょう。試験によく出る公式をまとめています。
関数電卓（F-789SG）の使い方は、私のサイトにある記事でマスターできます。
まずはこの記事を読みながら、実際に電卓を触ってみてください。
② 申請書｜試験に出る書式ひな形50（アガルート）
アガルートの中山先生が執筆した本です。市販では最も解説が詳しいです。申請書の書き方はパターンの丸暗記のため、何度も周回しましょう。
③ 図面｜テキストは買うな！動画を見ろ
図面の書き方を本で学ぶのは非効率です。しっかり理解するなら動画のほうが圧倒的に速いです。
このセクションで私は収益を得ませんが（笑）、完全独学の受験生にとっては最適解なので紹介しています。
【作図が不安な人へ】アガルート「新・定規の使い方講座」
YouTubeなどの無料動画でも基礎は学べますが、「試験で使えるレベルのスピード」を身につけるには、プロの体系的な指導が一番の近道です。
こんな人におすすめ：
- 定規の動かし方がぎこちない
- 作図に時間がかかりすぎて記述式が終わらない
- 独学で変なクセがつくのが怖い
- 「手の動き」を真似して最短で習得したい
予備校のアガルートには、図面の基礎だけを徹底的に学べる単科講座があります。
「土地家屋調査士試験｜新・定規の使い方講座」
※前年度版ですが、作図の基礎技術は年度で変わらないため、今年の受験生でも問題なく使えます。
作図の基礎は「見て覚える」のが最速です。
この講座ではプロの手の動きをそのまま真似できるため、独学の遠回りを避けたい人には最適です。
私の経験上、作図に苦手意識がある人ほど、この講座で一気に伸びます。
④ 演習｜記述式合格演習テキスト（東京法経学院）
「いきなり過去問を解くのは怖い…」という人は、まずこの問題集から入ってください。
合格者の使い方（実体験）：
このテキストの前半部分は、本試験（過去問）よりも基礎的で易しい問題が収録されています。
私は、いきなり過去問に挑まず、「このテキストで基礎固め → 過去問へ挑戦」というルートで進めました。
挫折せずに記述式のルールを覚えるなら、このテキストが最強の入門書になります。
【上級編】「時間切れ不合格」を防ぐために
ここまで紹介したテキストと過去問で、知識などの「基礎体力」はつきます。
しかし、独学にはたった一つだけ、致命的な弱点があります。
それは、「択一 → 記述式」を一連の流れで解く練習が圧倒的に不足することです。
なぜ「過去問」だけでは不十分なのか？
独学では、どうしても学習がバラバラになりがちです。
「今日は択一の日」「今日は土地の日」と、個別に勉強することはあっても、「本試験と同じ2時間半を通して、時間配分のプレッシャーの中で解く経験」が積めません。
- 本試験では「魔物」が出る：
試験の難易度は毎年変わります。「今年は択一が激ムズ」「建物が異常に長い」など、想定外の事態が必ず起きます。 - 合格に必要なのは「満点」ではない：
重要なのは、「この問題は今の自分には解けないから後回しにする」という「捨てる勇気（トリアージ）」です。
多くの不合格者が口を揃えて言うのが「時間が足りなかった」という言葉です。
これは能力不足ではなく、「戦術（立ち回り）の練習不足」です。
「解けない問題があっても、他の問題で稼いで逃げ切る」。
この泥臭い合格スキルは、市販のテキストでは学べません。予備校の「答練（模擬試験）」で、実戦形式の痛みを伴う練習をして初めて身につくものです。
過去問演習が終わったら、必ず答練を受けて「本番の時間の使い方」を身体に叩き込んでください。
土地家屋調査士の独学に関するよくある質問（FAQ）
土地家屋調査士の独学では、勉強方法・民法・計算問題・記述式など、多くの受験生が同じ悩みを抱えます。当サイトに寄せられた実際の相談をもとに、特に多かった質問をまとめました。
Q.独学でも合格できますか？
はい、可能です。私は独学で半年・一発合格しました。
ポイントは「教材を絞る」こと。
本ページで紹介した 過去問（択一・記述）＋基本書（100講）＋演習書 が揃えば十分です。
Q.勉強時間はどれくらい必要ですか？
目安は 500〜800時間 です。
・宅建／行政書士保持者 → 300〜500時間
・完全初学者 → 600〜800時間
時間よりも大事なのは 「過去問→復習→周回」 の回転です。
Q.何から始めればいいですか？（初学者）
最初は 択一の過去問（東京法経学院） からで大丈夫です。
「解けなくても読む→解説を理解する」を繰り返していれば、必ず“解ける日”が来ます。
Q.民法が難しすぎて理解できません…
民法は、いきなり過去問に挑むと挫折しがちです。
漫画や解説書で感覚をつかんでから過去問に戻ると理解が一気に進みます。
※おすすめテキストは本文にまとめています。
Q.記述式（書式）は何から学べばいいですか？
まずは以下の3つに分けて学ぶと最短です。
①計算 ②申請書 ③作図（定規の使い方）
詳しくはこちらにまとめています：
Q.作図が遅い／定規がうまく使えません…
作図は“手の動き”を真似しないと習得が難しいです。
無料ならLEC、最短ならアガルートの講座が最速で身につきます。
道具一覧はこちら：
Q.電卓（F-789SG）の複素数が不安です…
操作は慣れれば10分で覚えられます。
図解付きでまとめた記事があります：
Q.答練（模試）は受けたほうがいいですか？
最低1回は必須です。
本試験特有の時間圧・緊張感・問題の難易度の揺れは、会場でしか体験できません。
【私の実体験】
私が受験した時、斜め前の席の人が遅刻して大きな声で教室に入ってきました。
さらに試験中も何度もトイレに立ち、周りの集中力を削いでいました。
私は運良く合格できましたが、もし免疫がなければ落ちていたかもしれません。
「劣悪な環境で解く」という経験をしておくために、会場受験の模試は必須です。
Q.六法・建物認定・地目認定の本は必要ですか？
不要です。
その時間があるなら過去問を1周でも多く回すほうが点数に直結します。
Q.おすすめの道具（ペン・定規・電卓）はありますか？
作図スピードや精度に直結します。
合格者の実体験ベースでまとめた決定版はこちら：
合格率を上げたい人はこちらも合わせて読んでください
- 択一：東京法経学院「択一式過去問マスター」
- 記述：東京法経学院「記述式過去問マスター」
- 演習：東京法経学院「合格演習テキスト」
- 基本書：早稲田法科専門学院「受験100講」
この4冊は、私が半年で一発合格したときに実際に使っていた独学フルセットです。
※これだけ揃えれば、市販教材の迷子状態から一瞬で抜け出せます。
まとめ：道具を揃えたら、すぐに「時間の戦い」を始めよう
今回紹介した過去問とテキストさえあれば、合格に必要な知識はすべて網羅できます。
しかし、道具や教材は「持っているだけ」では1ミリも合格に近づきません。
教材が届いたその日から、まずは択一過去問を1ページでもめくってください。
そして、基礎が固まったらすぐに「時間を計る戦い（記述式・答練）」へ移行しましょう。
独学合格のカギは、知識量ではなく「演習量」です。
戦える道具の準備も、今のうちに済ませておいてください。
