※こちらの記事と酷似した記事が某資格予備校のサイトに掲載されています。
この記事は私の体験をもとに2020年7月に書いた完全にオリジナルのものです。当サイトが他サイトの記事を模倣したものではありません。
2024年10月に加筆しております。
土地家屋調査士になりたいんだけど女性でもなれるの?測量があるからやっぱり無理かな?
そんな疑問にお答えします。
私は「女性」の土地家屋調査士です。(試験にも合格しています)
現在は夫と一緒に独立をして、サポート役として働いています。
調査士試験の合格者の割合は95%以上が男性で、女性は5%程度です。
しかも、土地家屋調査士として登録している女性は全体の3%程度です。
土地家屋調査士は測量などの現場作業が必須なので基本的には男性の仕事です。
ですが、女性には絶対にできないということはないです。
この記事では女性である私が実際に体験したことや大変だったことなどをお話していきます。
この記事で分かること
- 女性でも土地家屋調査士になれる理由
- 女性調査士が苦労すること
- 土地家屋調査士として独立するまでの流れ
女性でも土地家屋調査士になれる理由
女性でも土地家屋調査士になることができます。理由は2つあります。
- 土地家屋調査士=重労働ではない
- 調査士業界は人手不足だから採用されやすい
土地家屋調査士=重労働ではない
土地家屋調査士の仕事は境界確定測量を依頼されることが多いです。境界確定測量は実際に器械を使って土地を測量します。(詳しい仕事内容は下記のリンクを参照)
参考:土地家屋調査士じゃ食えない?実際の仕事内容と報酬額を紹介!
測量と聞くと大変そうなイメージがあると思いますが、そこまできつくはないです。
それから、力仕事も多くはありません。女性の私でも普通にできる仕事ばかりなので、体力面での心配はいりません。
測量以外の仕事は下記の通り。これらはほぼ事務作業です。
- 図面を書く
- 申請の準備(書類の整理など)
- 隣接地の所有者との立会
- 市・県との打ち合わせ
動画で知りたい人はこちらをどうぞ。(女性調査士の動画です)
参考:土地家屋調査士の一日
調査士業界は人手不足だから採用されやすい
人手不足で困っている調査士事務所は結構多いです。都会なら求人の倍率は低いと思います。
私が働いていた事務所は、性別はそれほど気にしていませんでした。とにかく人手が欲しかったようです。
また、調査士業界は人の入れ替わりが激しいです。
想像以上の忙しさなので、みんな半年~1年くらいで辞めてしまうんですよね。(場所によりますが)
なので、来るもの拒まず・・・といった雰囲気の事務所も存在します。
個人的には女性でも採用されやすい傾向があると思いますね。どちらかと年齢と経験で落とされるパターンが多いです。
女性でも20~30代の働き盛りだったら採用される可能性は十分にあると思います。
参考:【実体験】30代未経験でも土地家屋調査士への転職は可能か?
女性の土地家屋調査士が苦労すること(実体験)
土地家屋調査士の仕事は重労働ではないし、業界自体が人手不足なので女性でも採用されます。
ですが、調査士業界=男社会であることは間違いないので、女性だと苦労することがたくさんあります。
私の体験談を交えながら説明していきます。
日焼け
日焼けは必ずします。とくに夏は大変です。
現場作業は朝から夕方までずっと外にいるので、全ての紫外線を防ぐことは無理です。
帽子や手袋である程度は防げますが、美白を保つことは絶対に無理だと思った方がいいですね。
日焼け止めをつけても汗で流れるし、塗り直しができないことも多いです。そのような時間もないし、そもそも手を洗える場面が少ないので現実的ではありません。
シミもできやすい労働環境なので、このような状態になりたくない人には向いていません。
それから、夏は気温が高いので出来るだけ軽装備にしたほうがいいです。日焼けが怖くてマスクや手袋、ショールなどをつけていると熱中症になるので注意です。
実際に私は日焼けが嫌で手袋、帽子、アームカバー、長袖で炎天下の中で作業をして倒れそうになったことがあります。
また、私は紫外線アレルギーなので強い紫外線に晒されると肌がカブレます。夜になると強い痒みが出るのですが、痒み止め(ムヒなど)を塗って何とか乗り越えています。
ですので、肌が弱い方にとってはかなりきついと思います。
爪が荒れる
現場作業をする際に地面を触ったり、草を刈ったりするので、手先が荒れることがあります。
爪を伸ばしていると割れます。ですので、ネイルをしたい人には向いていません。
短めの爪だとしても、現場作業中に気づいたらネイルがはがれていることがあるので、爪先をおしゃれにしておきたい人はやめておきましょう。
余談ですが、冬は寒空に手を晒すので手荒れします。
外食が多い
現場作業が多いため、昼食は外食であることが多いです。
「弁当を持参すればいいじゃないか」と考える人がいるとは思いますが、お弁当を車の中に放置して現場作業なんてできません。夏だと確実に腐ります。
ですので、土地家屋調査士の昼食は外食の場合が多いわけです。そのため、カロリーオーバーで太ります(笑)
太りたくない人は家での食事を自制しましょう。
土地家屋調査士の現場作業はキツい割にそこまで動かないのであまりカロリーを消費しないのです。
私は一年で8キロくらい太りました。私の同僚も新人の頃から太った人が多いです。
これから調査士として働きたいと思っている人は気をつけてください。
トイレに行きにくい
現場には二人一組で行くことがほとんどなので、同行者の許可をとればトイレに行けますが、相手は男性であることが多いのでやはり言い出しにくいことが多いです。
男性に「トイレに行きたいです」とは言いづらいですよね?
現場作業中だったらなおさら言いにくいと思います。一般的に女性よりも男性のほうがトイレの間隔が長いので、そのあたりの心配がある人はやめておいたほうが無難です。
とくに生理中に現場作業をする時は大変です。何時間もナプキンを変えられないことも普通にあります。特に夏は長時間ナプキンが交換できないと臭いが気になります。
私は月経カップやタンポンなどを使って乗り越えている状況です。ナプキンだけでは臭いや経血が漏れる可能性があるためです。
このようなアイテムを使えない人には厳しいかもしれませんね。
現場の近くにトイレがあるとは限らないので、3時間以上もトイレに行けないことがあります。何時間も立ちっぱなしであることもあるので、生理中の体調面が心配な人には向いていません。
余計な気を遣われる
私の場合は、パワハラやセクハラをされることはなかったのですが、女性であるというだけで変な気を遣われて逆に恐縮してしまうことがありました。
調査士業界は男性がほとんどなので、女性調査士は特別扱いされることが多いのです。
男性側からすれば、女性をどのように扱えばいいのか分からないのだと思います。
例えば、女性だから重い荷物を持たせない、大きな現場に連れて行ってもらえないなどです。
私は出来るだけ早く仕事を覚えて独立をしたかったので、簡単な仕事しか振ってもらえないことに不満を感じていました。
現場作業を全くさせてもらえなくて、事務所で雑務ばかりさせられていた時期が3ヵ月くらいありましたね。せっかく試験に受かったのに、やっていることは無資格の事務員と大差ないわけです。
このような扱いをされたくないなら、「もっと現場作業をしたい」ということをハッキリと伝えたほうがいいです。資格者ならば、意見と通してくれる上司も多いと思います。この業界は経験がないならば資格の有無を重視するためです。
私は自分から現場作業に積極的に関わっていくことで、最終的には現場を任せてもらう立場になりました。ただし、任されるまでには早朝勤務や残業をかなりこなしていました。
かなりきつい時期でしたが、流れに身を任せていたら、スキルアップなんてできなかったと思います。
ただし、事務所によっては女性を軽視するところもあると思います。そのような場所に運悪く当たってしまった場合はサクッと見切りをつけて転職しましょう。
女性だと舐められる
先ほどの「女性だと特別視される」という件と似ていますが、逆に舐められることも多くあります。
個人的な感想ですが、現場作業中に変な人に絡まれることが多いのは圧倒的に女性作業員です。(その次は若い男性作業員ですね)
例えば街中の測量をしている際に酔っ払いなどから話しかけられたり、作業の邪魔をされたりします。本当に不愉快ですが、適当にあしらって乗り切るしかありません。
それから、土地家屋調査士は隣地所有者の方と話すことが多いのですが、その所有者が年配の方だと上から目線で話されることがまれにあります。(特に年配の男性からです)
「あなたは資格は持っているのか?」「なんでここで働いているのか?」「経験はどれくらいか」などを聞かれることがあります。こちらの知識を試すような細かい質問をしてくることもあります。
このような状況が嫌で他の男性スタッフに相談したことがありますが、私以外でこのようなことを聞かれた人は一人もいませんでした。
つまり女性であるというだけで、信用されなかったり、馬鹿にされたりすることがあるのです。
私がたまたま遭遇しただけかもしれませんが、男性社会の中に女性がいる場合、このような不快な状況が起こりやすいと言うことを覚えておいてください。
家庭との両立が難しい
これは女性に限りませんが、調査士業界は基本的にはブラックです。定時で帰れることはほとんどないと思ってください。既婚者の人(特に子持ち)は特に注意ですね。
土日の出勤や残業は当たり前の世界なので、家族との時間を大事にしたい人はあまり忙しくない事務所を選んだ方がいいです。
私が働いていた事務所は大手だったので、朝8時に出勤→夜10時に帰宅、という生活が長期間続いていました。
これでは家事なんてほぼできないし、家族団らんをする時間もありません。パートナーが専業主夫とか家事が得意な人ならいいですが、そうじゃないなら転職する前によく話し合ったほうがいいですね。
子持ちの人は特に注意です。保育園や学童に預ければいいのでは?と思うかもしれませんが、延長保育を駆使しても間に合わない場面が多々あると思います。
立ち会いや打ち合わせなどは相手のスケジュールに合わせることが多いのでこちらの都合通りにはいきません。
そのような場合はパートナーや他の家族に頼ることになると思いますので、転職前にしっかりと計画を立てておいてください。
そうでないと生活が破綻します。
事務員ならば融通が利くと思いますので、どうしても無理だったら現場から内業の事務員に変えてもらうという手もあります。ただ、この業界は現場作業員が不足している傾向があるので、このような要望が通らない可能性も十分にあると頭に入れておいてください。
妊娠中や産後は働けない
土地家屋調査士の仕事は重労働ではないですが、妊娠中や産後すぐに復帰できる仕事ではないので気をつけて下さい。妊娠中や出産直後に現場作業をすることは不可能です。
土地家屋調査士の仕事は重労働ではないとは言いましたが、日常的にドリルや器械などの重い物を持ちます。
普通の女性にとっては軽作業でも、妊婦や産後すぐの女性にとっては危険な仕事が多いです。そもそも立ちっぱなしの仕事なので重いものを持たなかったとしても体力的に厳しいです。
もしも、土地家屋調査士になった後に妊娠が分かったら、すぐに事務の仕事に変えてもらったほうがいいですね。ただし、前述したとおりですが、現場作業員→事務員への配置変更が通るとは限らないので注意です。
そもそも、すぐに子どもがほしいと思っている人は、土地家屋調査士にならないほうが無難かもしれません。(事務員ならOK)
土地家屋調査士として独立するまでの流れ
- 土地家屋調査士試験に合格
- 土地家屋調査士事務所に就職
- 1~2年ほどの実務経験を積む
- 事務所を退職
- 土地家屋調査士として登録
- 必要な道具(器械など)を揃える
- 知人の紹介や営業などで仕事をとってくる
こんな感じですね。
一人で独立開業をするなら、補助者となる相手を探しておいたほうがいいです。
夫が同業者なら一緒に仕事をしてもいいですね。
司法書士との兼業がオススメ
土地家屋調査士と司法書士を兼業している女性は結構多いです。
個人的にはこの組み合わせで独立するのが一番オススメです。
このパターンでは土地の測量はほとんどせずに、建物の登記をやっている人が多いですね。
他にも相性の良い資格があるので興味がある人はどうぞ。
参考:ダブル受験可能!土地家屋調査士と相性が良い資格と悪い資格を紹介!
試験に合格する方法
女性調査士の大変なところをいくつがご紹介してきましたが、仕事自体はそこまで難しくないので興味がある人は転職するのもありです。
若いほど採用率が高い傾向があるので、20~30代前半のうちに一度経験してみてもいいと思いますよ。
土地家屋調査士の勉強をすると不動産の登記に詳しくなるので、家を新築する時などに役に立つと思います。
ただ、本当に土地家屋調査士になりたいなら試験に合格する必要があります。
この業務はブラックなので、調査士事務所で働きながら試験に合格するのはちょっと難しいかもしれません。(時間的に余裕がない)
私は調査士事務所に入る前に試験に合格しています。よかったら参考にしてください。
今回の記事はここまでです。